# 「自分ごと」では足りない：当事者性を構成する十の次元と、その測り方

- 著者：小川 修一郎（デザイン研究者／デザインコンサルタント）https://jamjet-iqbal.com/
- 初出：2026-08-15、更新：2026-08-15
- 正規の URL（HTML）：https://jamjet-iqbal.com/notes/tojishasei-agency-literature/
- 英語版：https://jamjet-iqbal.com/en/notes/tojishasei-agency-literature/（Markdown：https://jamjet-iqbal.com/en/notes/tojishasei-agency-literature.md）
- 言語：ja
- キーワード：tojishasei, agency, autonomy, self-efficacy, sense-of-agency, psychological-ownership, empowerment, political-efficacy, participatory-design, end-user-development, lay-expertise, situated-knowledge, co-production, tojisha-kenkyu, youth-participatory-action-research, llm, measurement, literature-review

> 日本語の「当事者性」を、英語圏の agency / autonomy / self-efficacy / sense of agency / psychological ownership / empowerment / political efficacy / participation / lay expertise / co-production の系譜と突き合わせた文献地図。当事者性はこれらのどれか一つには対応せず、被影響性からスチュワードシップまで十の次元に分けて扱う必要がある。中西正司・上野千鶴子の当事者主権、土場学が紹介するニーズ論、浦河べてるの家の当事者研究を、Bandura、Emirbayer & Mische、Haraway、Epstein、Arnstein、Scandinavian Participatory Design の系譜と並べた。測定については標準尺度が存在せず、主観・行動・成果・構造的権限の四層で測る必要があることを、既存尺度の心理計量値とともに整理する。LLM が実装コストを下げるほどボトルネックが問題設定と検証と統治へ移るという論点を、2026年の実証研究2件で確認した。素材となった報告の記述を一次 API で照合したところ6箇所が原典と一致せず、検証できなかった数値も特定したので、いずれも本文に明記した。ギャルマインドを測った3つの研究に当事者が配置されていないことも、この枠組みで名指しした。参照文献26件。

当事者性が大事だという主張に、反対する人はいない。

では、何が観察されれば当事者性が高いと言えるのか。
ここで話が止まる。

止まる理由は、日常語では一つにまとまってしまう区別が、実証研究では分かれるからである。
問題に関係していること、自分ごとだと感じること、自分で決めること、実行できること、結果を所有すること、制度へ影響できること、自分の経験について語る権威を持つこと。
これらは全部違う。

## 素材の記述と原典が、六箇所でずれていた

| 記述 | 原典 |
|---|---|
| Haggard, P.（2012）単著 | Haggard, P. & **Chambon, V.** の共著 |
| Sundblad, Y.（2010） | Springer 収録は **2011**（会議は2010年開催） |
| Patzak, A. **ほか**（2025） | 著者は Patzak & **Zhang** の**2名のみ** |
| Tapal ら 2017「**13項目**構成」 | 13項目から開始し Study 2 で2項目削除、**最終尺度は11項目** |
| Liu ら（**2025**）「using Traditional Low-Code Platforms and Large Language Models」 | arXiv:2402.01156、v1 は **2024年2月**、正しくは "using Traditional **vs** Large Language Model Support" |
| Pearce ら（年の記載なし） | **2022** IEEE Symposium on Security and Privacy |

数値のほうも、そのまま引けるものと引けないものがある。
後半の各節で、確認できたかどうかを都度書く。

## 一つの英単語には対応しない

日本語の「当事者性」を英語の一語に置き換えようとすると、必ず何かが落ちる。

| 領域 | 原語 | 中核 |
|---|---|---|
| 日本の社会学・福祉 | 当事者、当事者主権 | ニーズを自ら引き受け、別の現実を構想する |
| 心理学 | agency（Bandura） | 意図、予見、自己調整、自己省察を通じて作用する |
| 社会学 | agency（Emirbayer & Mische） | 過去、未来、現在を横断する時間的で関係的な社会的行為 |
| 認知科学 | sense of agency | 自分が行為と結果の起点だという経験 |
| 自己決定理論 | autonomy | 行為を自分の意思と価値に沿うものとして経験する |
| 社会認知理論 | self-efficacy | 特定の行為を遂行できるという能力信念 |
| 組織心理学 | psychological ownership | 対象を「自分のもの」「自分たちのもの」と経験する |
| コミュニティ心理学 | empowerment | 統制、批判的意識、参加、権力 |
| 政治学 | political efficacy | 自分が関われるという信念と、制度が応答するという信念 |
| 科学技術社会論 | lay expertise、situated knowledge | 誰の経験が知識として数えられるか |

とくに注意が要るのが `stakeholder` である。
「利害関係者」「関係当事者」と訳されるが、stakeholder が表すのはその問題に対する**位置**であって、何を構想し行為できるかではない。

患者が医療アプリの stakeholder であることと、仕様決定権とデータアクセス権を持つことは別である。
stakeholder は当事者性の必要条件になりうるが、十分条件ではない。

## 当事者は、はじめから当事者ではない

日本語圏の議論には、英語の agency だけでは捉えにくい特徴がある。

中西正司・上野千鶴子の『当事者主権』（2003年、岩波新書）は、福祉において本人より家族や専門家のニーズ判定が優先される構図への批判を背景に置いている。
土場学が2007年に『社会学評論』でこの系譜を整理したとき、紹介されているのは次の議論である。

**誰もが最初から当事者なのではない。**
現在の状態を、望ましい状態に対する不足として捉え、別の現実を構想するときに、ニーズが形成される。
そのときに人は当事者になる。

つまり当事者性は、客観的な被害や属性だけで決まらない。
違和感の認識からニーズの形成へ、問題設定へ、別の現実の構想へ、という**生成の過程**を含む。

この点は Emirbayer & Mische の枠組みと接続する。
彼らは agency を、既存の習慣を反復する側面、まだ存在しない未来を構想する側面、現在の不確実な状況で判断する側面の三つに分けた。
「現在を不足として捉え、別の現実を構想する」は、二つめに当たる。

当事者性の核心は「自分ごと化」ではなく、**現状とは違う状態がありうると構想する能力**のほうにある。

なお『当事者主権』には2024年11月に増補新版が出ている（岩波新書 新赤版2042、当事者運動年表を追加）。
引用するときは版を指定する必要がある。

## 十の次元

以上を分けると、次のようになる。

| 次元 | 問うこと |
|---|---|
| 被影響性 | 実際にその問題やシステムから影響を受けているか |
| ニーズの自己定義 | 自分たちのニーズとして問題を言語化しているか |
| 構想の agency | 現状とは異なる望ましい状態を構想できるか |
| 自律 | 自分の価値と理由に基づいて選択しているか |
| 効力感 | 実行できるという信念と、実際の能力があるか |
| 認識的 agency | 経験と証拠を使って説明し、仮説を立て、検証できるか |
| 心理的所有感 | 対象を自分たちのものと経験するか |
| 参加の権力 | 議題設定、決定、拒否、資源配分の実権があるか |
| 集合的 agency | 他の当事者と共同で作用できるか |
| スチュワードシップ | 結果、保守、事故、外部性への責任を持てるか |

このうち一つだけを取り出して「当事者性」と呼ばないこと。
研究するときは、どの次元を扱うのかを明示することが前提になる。

## 別々の分野が、同じ問題を別の言葉で扱ってきた

当事者性に連なる研究は、一つの学問から発展していない。

政治的効力感の測定は1950年代に始まり、後に内的効力感（自分には理解し参加する能力がある）と外的効力感（制度は市民の要求に応答する）に分化した。
Arnstein は1969年に市民参加を8段階の梯子として類型化した。
Rappaport は1987年にエンパワメントをコミュニティ心理学の中心概念として提示した。

Scandinavian Participatory Design の起源は、使いやすい画面ではない。
Sundblad が2011年に回顧した UTOPIA プロジェクトでは、労働組合と労働者が技術の設計と開発へ直接参加することが重視された。
要求を専門家へ伝えるのではなく、技術を通じた仕事の変化そのものについて交渉した。
出発点は**技術変化に関する民主的権力**である。

Haraway が1988年に situated knowledges で問うたのは、位置と身体から切り離された客観性の観念だった。
Epstein が1995年に描いたのは、AIDS 活動家が科学者から情報を受け取るだけの存在にとどまらず、生物医学的知識を習得しながら臨床試験のルールそのものへ介入した過程である。
ここで「経験者の声を聞く」より強いモデルが成立した。
当事者が**知識生産のルールへ参加する**というモデルである。

日本では、当事者研究がこれをさらに「研究する権利」へ広げた。
浦河べてるの家の公式ページは、2001年頃に数名の「研究」から始まったと記している（一次確認済み）。
本人を、専門家に診断される対象から、自らの苦労を研究する主体へ移す。
支援者と仲間は共同研究者になる。

ここで重要なのは、当事者研究が「自分ですべてを理解し統制する」ことを理想にしていない点である。
分からなさを仮説として外に出し、他者へ開く。
当事者性を「何でも自力で解決する能力」と捉える読み方への、内側からの反論になっている。

HCI では、この系譜にエンドユーザー開発が接続する。
Fischer らが2004年に *Communications of the ACM* で meta-design を定義したとき、核心に置かれたのは、問題を最もよく知る「owners of problems」を設計過程へ戻すことだった。

## 測るときは、四層に分ける

「当事者性尺度」という標準尺度は確立していない。
既存の尺度を、研究対象に応じて組み合わせることになる。

| 尺度 | 測る対象 | 心理計量値（確認状況） |
|---|---|---|
| Sense of Agency Scale（Tapal ら 2017） | 肯定的・否定的な行為主体感 | 13項目から開始し、Study 2 で2項目削除して**最終11項目**。Study 1（n=236）で ω=.78/.76、2か月後の再検査 r=.78/.74（n=91）。Study 2（n=408）は ω=.80/.75。**本文で確認済み** |
| Political Efficacy Short Scale（Groskurth ら 2021） | 内的・外的政治的効力感（4項目） | ω は英国標本で内的 .88 / 外的 .84、ドイツ標本で内的 .86 / 外的 .86。約3〜4週間後の再検査信頼性は英国 .83 / .68、ドイツ .87 / .75。**一次 PDF の目視確認はできておらず二次確認にとどまる** `[要一次検証]` |
| Sociopolitical Control Scale（Zimmerman & Zahniser 1991、Peterson ら 2006） | 指導力の認識、政策への統制感 | 改訂版は逆転項目による方法バイアスを検出し、全項目を肯定文にして2因子構造を支持 |
| Psychological Ownership（Van Dyne & Pierce 2004） | 「自分のもの」という感覚 | 3つのフィールドスタディで従業員800名超、Cronbach's α は .87 / .90 / .93、Study 2 の n=409。**Study 1 と Study 3 の個別 n と再検査信頼性は依然未到達**。要旨で確認できるのは「業績の予測には増分的価値を示さなかった」まで `[要一次検証]` |
| Psychological Empowerment（Spreitzer 1995） | 意味、有能感、自己決定、影響（4次元12項目） | 原研究で測定と妥当化を実施 |

自己報告で測れるのは、行為主体感、所有感、効力感までである。
参加の権力と構造的な機会は、本人の感覚では測れない。

政治的効力感の研究が内的と外的を分けたこと、エンパワメント研究が個人内、相互作用、行動の各次元を分けたことは、この問題への先行解にあたる。
本人に agency があっても、組織がデータと予算とデプロイ権限を渡さないなら、実効的な当事者性は低い。

したがって測定は四層になる。

| 層 | 問い | 例 |
|---|---|---|
| 主観 | 自分の問題だ、自分で決められる、できると感じるか | 行為主体感、自律、自己効力感、所有感 |
| 行動 | 実際に問題を定義し、選び、拒否し、変更したか | 自発的な目標設定、AI 案の却下、編集、助けの求め方 |
| 成果 | 理解し、修正し、転移し、保守できるか | 説明の再現、バグの発見、テストの作成、遅延転移 |
| 構造 | 実際に資源と決定権と拒否権を持つか | データと API の権限、予算、デプロイ権、拒否権、異議申立 |

プロンプト数やコード行数や AI 提案の採用率を、そのまま agency の尺度にしないこと。
プロンプトが多い人は主体的に探索しているかもしれないし、AI に理解されずに困っているだけかもしれない。

## 育てるには、自由と足場の両方が要る

「もっと自分ごととして考えなさい」と指示して当事者性を育てるのは、理論的に弱い。

Patzak & Zhang が2025年に *Educational Psychology Review* で発表したメタ分析は、**94研究、110効果量**を統合している（この2つの数値は要旨で確認、一致）。
自律性支援は選択、理由の提示、学生の否定的感情や視点の承認として、構造は導きと明確な期待と情報的フィードバックとして整理されている。
報告が引いていた個別の相関係数（r=.53 など）は、**依然として確認できていない** `[要一次検証]`。
Springer の認証壁に加え、著者セルフアーカイブ、機関リポジトリ、ResearchGate、PsyArXiv のいずれからも本文に到達できなかった（2026-08-16 の再試行）。

確認できた範囲で言えるのは、自律性支援と構造が対立するものとして扱われていないということである。
本人に決めさせることと、明確な期待と足場とフィードバックを与えることは、組み合わせて使われている。

Youth Participatory Action Research では、若者は研究対象ではなく共同研究者になる。
Anyon らが2018年に行った系統的レビューでは、**3,724件をスクリーニングして63研究・67報告を採択し、報告された若者側の成果のうち agency と leadership が75.0%で最多、ランダム化試験は2件のみ**だった（3つとも要旨で確認、一致）。

理論的な妥当性と一貫した肯定的報告はあるが、平均処置効果を強く断定するには研究設計が足りない。
当事者研究についても同様で、実践史と質的研究としての価値と、因果効果の確証は分けて読む必要がある。

## LLM は、当事者性のボトルネックを移す

自然言語でソフトウェアを作れるようになると、実装技能の壁が下がる。

Weber が2026年に発表したエンドユーザー開発の実証研究では、**ドイツ・ケンプテン応用科学大学機械工学部の学生33名中24名（約73%）が、AI 支援で機能するアンケートアプリを完成させた**（修士21名中18名で85%、学士12名中6名で50%）。
28名（約85%）が企業への提供を推奨した。
一方で18名が訓練の必要を、10名が専用プラットフォームの必要を挙げている。
**これらの数値は arXiv 版の本文で直接確認し、すべて一致した。**

ここから言えるのは「誰でもソフトウェアエンジニアになった」ではない。
構文とフレームワークと定型コードが、非専門家にとっての絶対的な参入障壁ではなくなりつつある、というところまでである。

そしてボトルネックが移る。
ニーズの発見、問題設定、仕様化、検証、セキュリティ、データ権利、保守、外部性、共同統治へ移る。

移った先で効いてくるのが、認識的 agency である。

Shen & Tamkin が2026年1月に公開したプレプリントは、AI 支援と技能形成の関係を実験で検討している。
パイロットでは、**AI 群が課題を速く完了した一方（Cohen's d=1.11, p=0.03）、知識クイズでは有意に低い成績だった（Cohen's d=1.7, p=0.003）**。
要旨は、AI 支援が概念理解、コードリーディング、デバッグの能力を損ない、平均では有意な効率向上をもたらさないこと、全面的に委任した参加者は生産性を上げた一方で習熟を犠牲にしたことを述べている。
**この数値も本文で直接確認した。**
ただし未査読のプレプリントであり、追試が要る。

自然言語で指示して成果物が出ると、行為主体感と心理的所有感は容易に生まれる。
「自分で指示した」ことと「因果構造を理解している」ことは別である。

したがって見るべき指標は、作るまでの時間ではなく、**独力で統制できるようになるまでの時間**になる。

責任の移転も起きる。
Pearce らが2022年の IEEE Symposium on Security and Privacy で示したように、AI が生成したコードは脆弱性を含みうる。
非プログラマにデプロイ能力を渡すことは、同時にセキュリティ責任を渡すことでもある。

ここから「当事者性が高ければ自由にデプロイさせるべき」という結論は出ない。
本人だけが影響を受けるツールと、患者情報や決済情報や社員情報を扱うシステムでは、正当化の条件が違う。
**当事者性は、他者の権利を上書きしない。**

Bandura の枠組みは、この点で有用である。
人は自分で直接行為する personal agency のほかに、自分が持たない資源や専門性を持つ他者へ働きかける proxy agency と、集団として結果を生む collective agency を使う。
だから **LLM に頼ること自体は当事者性の低下ではない**。
何を委任し、どこで判断を取り戻し、どの結果に責任を持つかのほうが問題になる。

## ギャルマインド研究に、当事者はどこにいるか

本 wiki には、ギャルマインドを測ろうとした研究が3件記録されている。
十の次元を当てると、3件とも同じところが空いている。

**本出莉乃 2023**（[平成レトロはなぜ流行ったか：ギャルマインドへの憧れ尺度の開発と検証](https://jamjet-iqbal.com/notes/gyaru-mind-aspiration-scale/)）は、当事者への聞き取りを**あえて行っていない**。
理由は本文に書かれている。
Z世代が憧れているのは「いまの平成ギャル」ではなく「当時の平成ギャル」だから、当人の回想ではなく当時の流行そのものから取るべきだ、という判断である。
構成概念の源泉は、雑誌10冊に置かれた。

この判断には理由があり、本出の問い（当時の流行が現在の憧れをどう作るか）には整合している。
ただし結果として、ニーズの自己定義と認識的 agency は研究の外に置かれた。
Haraway と Epstein が確立した「経験者が知識生産のルールへ参加する」という筋は、ここでは使われていない。

**池上桃花ら 2025–2026**（[ギャルマインドは何として測られたか：8因子の由来と、その限界](https://jamjet-iqbal.com/notes/gyaru-mind-operationalization/)）では、8因子は一般書1冊を著者間の討議で分解して作られ、正解となる基準スコアは第一著者が単独で付けた。
評定者間の一致率は報告されていない。
ギャルを自認する人が「これは自分たちの語か」を判定する手続きも組み込まれていない。

認識的 agency が、どこにも配置されていない。
参加の権力もない。

**新規性の主張**（[差異は基準にならない：ギャル的実践の新規性主張に対する敵対的査読](https://jamjet-iqbal.com/notes/gyaru-criterion-formation-novelty/)）はさらに直接的である。
理論的新規性を救える唯一の筋として提案されているのは、当事者が意図的に差異を増幅し、当事者の評価語が生まれ、その語が判定規則になり、次の制作を変える、という系列である。
全段が「当事者が」で始まる。

ところが同じ検討のなかで、松井剛が2015年に「コギャル」をメディアが作る社会記号の例として分析していることが指摘されている。
命名の主体が当事者ではなかった可能性である。

**新規性の核心が当事者性の実在にかかっているのに、当事者性そのものが検証されていない。**

三つに共通するのは、誰が「ギャルマインドとは何か」を定義する正当性を持つのかが、どの研究でも設計されていないことである。
中西と上野が福祉について書いたのは、本人より家族と専門家のニーズ判定が優先される構図への批判だった。
ギャルマインド研究では、本人より雑誌と一般書と著者の討議が優先されている。

逆向きにも言えることがある。

当事者性の理論は、福祉、医療、障害の文脈で育った。
被害や不利益から出発する当事者性である。
ギャルマインドが出発するのは、美的な差異である。

土場が紹介するニーズ論と、ギャル的実践の新規性主張は、構造が似ている。
現在の状態を望ましい状態に対する不足として捉え、別の現実を構想するところでニーズが生まれる、という筋と、既存基準で負に評価された差異を意図的に増幅して別の価値に変える、という筋である。
どちらも、負に置かれた状態を構想の資源に変える。

初回の探索では、この二つを並べた研究を見ていないと書いた。
経路を変えて探すと、出てくる。
crip theory とファッション研究を掛け合わせる経路を、初回は試していなかった。

Ben Barry らは、disability justice と衣服の改造を同じ研究のなかで扱っている。
障害のある男性と非二項ジェンダーの当事者40名へのワードローブインタビューでは、装いの実践がジェンダーと障害の支配的な規範を解体する一方で、交差する特権と周縁化への葛藤を伴うことが報告されている。
ファッション産業からの排除に応答して衣服の交換とスタイリング技法の共有が起き、そこから代替的なファッション世界が築かれる過程も理論化されている。
同型の並置は、体型スティグマとファッション表現、黒人の髪の政治と自己定義にもある。

黒人女性のファッション研究を系統的にレビューした Robertson らは、この分野が「抵抗と抑圧を中心に置く研究」と「より全体的な自己表現の研究」の二つに分裂していると指摘する。
不利益から出発する記述と、美的な自己呈示から出発する記述が噛み合わないという事態は、当該分野の内部でも問題として認識されている。

埋まったのはここまでである。
これらが確立しているのは**両者を並置する枠組み**であって、[差異は基準にならない：ギャル的実践の新規性主張に対する敵対的査読](https://jamjet-iqbal.com/notes/gyaru-criterion-formation-novelty/) が要求する因果連鎖、つまり差異の増幅から評価語の生成を経て評価規則の一般化に至る系列を実証したものではない。

測定設計の側からこの空白に触れたものは [ギャルマインドはどう測れそうか：既存の二つの尺度が測っていないもの](https://jamjet-iqbal.com/notes/gyaru-mind-measurement-design/) の段階0（場面を当事者から集める）にある。

## 参照文献

URL の取得日は 2026-08-15。
書誌は全件、Crossref、OpenAlex、arXiv、NDL Search、J-STAGE のいずれかで確定させた。

### agency と autonomy の理論

1. Bandura, A. 2001. Social cognitive theory: An agentic perspective. *Annual Review of Psychology* 52(1), 1–26. https://doi.org/10.1146/annurev.psych.52.1.1
2. Emirbayer, M. & Mische, A. 1998. What is agency? *American Journal of Sociology* 103(4), 962–1023. https://doi.org/10.1086/231294
3. Haggard, P. & Chambon, V. 2012. Sense of agency. *Current Biology* 22(10), R390–R392. https://doi.org/10.1016/j.cub.2012.02.040
4. Ryan, R. M. & Deci, E. L. 2000. Self-determination theory and the facilitation of intrinsic motivation, social development, and well-being. *American Psychologist* 55(1), 68–78. https://doi.org/10.1037/0003-066X.55.1.68

### 測定尺度

5. Tapal, A., Oren, E., Dar, R. & Eitam, B. 2017. The Sense of Agency Scale. *Frontiers in Psychology* 8, 1552. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2017.01552
6. Zimmerman, M. A. & Zahniser, J. H. 1991. Refinements of sphere-specific measures of perceived control: Development of a Sociopolitical Control Scale. *Journal of Community Psychology* 19(2), 189–204. https://doi.org/10.1002/1520-6629(199104)19:2%3C189::AID-JCOP2290190210%3E3.0.CO;2-6
7. Peterson, N. A., Lowe, J. B., Hughey, J., Reid, R. J., Zimmerman, M. A. & Speer, P. W. 2006. Measuring the intrapersonal component of psychological empowerment: Confirmatory factor analysis of the Sociopolitical Control Scale. *American Journal of Community Psychology* 38(3–4), 263–274. https://doi.org/10.1007/s10464-006-9070-3
8. Van Dyne, L. & Pierce, J. L. 2004. Psychological ownership and feelings of possession: Three field studies predicting employee attitudes and organizational citizenship behavior. *Journal of Organizational Behavior* 25(4), 439–459. https://doi.org/10.1002/job.249 `[要一次検証]`（個別の標本サイズ、α、再検査信頼性は本文未到達）
9. Groskurth, K., Nießen, D., Rammstedt, B. & Lechner, C. M. 2021. An English-language adaptation and validation of the Political Efficacy Short Scale. *Measurement Instruments for the Social Sciences* 3, Art. 1. https://doi.org/10.1186/s42409-020-00018-z `[要一次検証]`（ω と再検査信頼性は本文未到達）
10. Spreitzer, G. M. 1995. Psychological empowerment in the workplace: Dimensions, measurement, and validation. *Academy of Management Journal* 38(5), 1442–1465. https://doi.org/10.2307/256865

### エンパワメント、参加、経験知

11. Rappaport, J. 1987. Terms of empowerment/exemplars of prevention: Toward a theory for community psychology. *American Journal of Community Psychology* 15(2), 121–148. https://doi.org/10.1007/BF00919275
12. Arnstein, S. R. 1969. A ladder of citizen participation. *Journal of the American Institute of Planners* 35(4), 216–224. https://doi.org/10.1080/01944366908977225
13. Haraway, D. 1988. Situated knowledges: The science question in feminism and the privilege of partial perspective. *Feminist Studies* 14(3), 575–599. https://doi.org/10.2307/3178066
14. Epstein, S. 1995. The construction of lay expertise: AIDS activism and the forging of credibility in the reform of clinical trials. *Science, Technology, & Human Values* 20(4), 408–437. https://doi.org/10.1177/016224399502000402
15. Jasanoff, S. 2004. The idiom of co-production. In *States of Knowledge*, Routledge, 12–23. https://doi.org/10.4324/9780203413845-6
16. Sundblad, Y. 2011. UTOPIA: Participatory design from Scandinavia to the world. *History of Nordic Computing 3*（IFIP AICT）, 176–186. https://doi.org/10.1007/978-3-642-23315-9_20
17. Anyon, Y., Bender, K., Kennedy, H. & Dechants, J. 2018. A systematic review of youth participatory action research in the United States. *Health Education & Behavior* 45(6), 865–878. https://doi.org/10.1177/1090198118769357
18. Patzak, A. & Zhang, X. 2025. Blending teacher autonomy support and provision of structure in the classroom for optimal motivation: A systematic review and meta-analysis. *Educational Psychology Review* 37(1), Art. 17. https://doi.org/10.1007/s10648-025-09994-2 `[要一次検証]`（個別の相関係数は本文未到達）

### 日本語圏の当事者論

19. 中西正司・上野千鶴子. 2003.『当事者主権』岩波書店（岩波新書）. ISBN 4-00-430860-7. 増補新版は2024年11月（岩波新書 新赤版2042、ISBN 978-4-00-432042-5）
20. 土場学. 2007. テーマ別研究動向（当事者性）.『社会学評論』58(2), 221–230. https://doi.org/10.4057/jsr.58.221
21. 関水徹平. 2011.「ひきこもり」問題と「当事者」.『年報社会学論集』24, 109–120.
22. 熊谷晋一郎. 2019. 当事者研究とは何か？『情報処理』60(10), 955–958. `[要一次検証]`（この論文が歴史的分析まで含むかは本文未確認。別稿の可能性が残る）
23. 社会福祉法人浦河べてるの家「当事者研究」. https://urakawa.bethel-net.jp/aboutus （2001年頃の開始を一次確認。当事者団体の自己記述であり、実践の記述として扱う）

### エンドユーザー開発と LLM

24. Fischer, G., Giaccardi, E., Ye, Y., Sutcliffe, A. G. & Mehandjiev, N. 2004. Meta-design: A manifesto for end-user development. *Communications of the ACM* 47(9), 33–37. https://doi.org/10.1145/1015864.1015884
25. Weber, I. 2026. Feasibility of AI-assisted programming for end-user development. *Advances in Natural Language Processing and Information Retrieval*（NLPIR 2025）, 1043–1053. https://doi.org/10.1007/978-3-032-20897-2_73 （プレプリント: https://arxiv.org/abs/2512.05666）
26. Shen, J. H. & Tamkin, A. 2026. How AI impacts skill formation. arXiv:2601.20245（**未査読**）. https://arxiv.org/abs/2601.20245
27. Pearce, H., Ahmad, B., Tan, B., Dolan-Gavitt, B. & Karri, R. 2022. Asleep at the keyboard? Assessing the security of GitHub Copilot's code contributions. *2022 IEEE Symposium on Security and Privacy (SP)*. https://doi.org/10.1109/SP46214.2022.9833571

## 調査の範囲と手順

- **調査日**: 2026-08-15
- **素材**: 当事者性を統合的にレビューした報告（`source/review/tojishasei-agency/deep-research-report-tojishasei.md`）。この報告は参考文献リストを持つが**DOI が一つもなかった**ため、Crossref、OpenAlex、arXiv、NDL Search、J-STAGE の各 API で書誌を確定させた
- **書誌の照合結果**: **6箇所で報告の記述と原典が一致しなかった**（下記）。数値についても、一致したもの、確認できなかったもの、部分的にしか一致しないものを区別した
- **確度**: 書誌は全件 DOI、ISBN、または安定 URL で確定させた。要旨または本文まで到達できていないものには `[要一次検証]` を付す

本ノートは、この区別を英語圏の研究系譜と突き合わせて整理したものである。
出典台帳は `source/review/tojishasei-agency/papers.md` にある。

## 未検証事項

- 素材の報告と原典が一致しなかった6箇所は本文の表に記した
- **確認できなかった数値**: Patzak & Zhang 2025 の個別相関係数すべて（r=.53、.59、.45、.36、.47、.35）。Springer 認証壁、著者セルフアーカイブ、機関リポジトリ、ResearchGate、PsyArXiv のいずれからも本文に到達できていない `[要一次検証]`
- **二次確認まで進んだ数値（2026-08-16）**: Van Dyne & Pierce 2004 は3研究の Cronbach's α が .87 / .90 / .93、Study 2 の n=409。Study 1 と Study 3 の個別 n と再検査信頼性は未確認。Groskurth ら 2021 は ω が UK で内的 .88 / 外的 .84、DE で内的 .86 / 外的 .86、再検査信頼性が UK で .83 / .68、DE で .87 / .75。**いずれも一次 PDF の目視確認はできておらず、二次確認にとどまる** `[要一次検証]`
- **部分的に一致しなかった数値**: Tapal ら 2017 の「13項目」（最終版は11項目）、「ω=.78/.76」は Study 1 のみの値
- 熊谷晋一郎 2019 が、素材の言う「歴史的分析」を含むかは本文未確認。別稿を指している可能性が残る `[要一次検証]`
- 弘瀬詩菜・岸太一「主体性に関する文献的検討」（2025、日本心理学会第89回大会論文集 979、DOI 10.4992/pacjpa.89.0_979）は**学会発表要旨**であり、素材が指すものと同一かは未確認のため本文では使わなかった
- Fischer & Scharff 2000（DIS '00）の meta-design 論文は ACM DL が404で到達不可 `[要一次検証]`
- 参照文献24、25 が `source/review/end-user-development/` の既存コーパスと重複していないかは未確認
- 不利益から出発する当事者性と美的差異から出発する主体化を並置した研究は、**2026-08-16 の再探索で複数見つかった**（本文の該当節、コーパスは `source/review/tojishasei-agency/papers.md` の F 節）。初回の「見ていない」という記述から導かれる空白は、存在しない
- ただし OpenAlex と Semantic Scholar が HTTP 429（Retry-After 約8時間）を返したため、**引用網追跡は一度も実施できていない**。中西正司・上野千鶴子、土場学、Costanza-Chock、Thornton、Hebdige、Collins、Fraser、Siebers、Agha の被引用リストは未探索のまま
- 追加した15件のうち5件（Barry & Nesbitt 2023 の書籍章、Barry 2022、Holliday 2001、Reddy-Best & Pedersen 2013、Hair Sankofa の章）は要旨に到達できておらず、タイトルと書誌のみで関連度を判定した `[要一次検証]`
- 当事者研究の効果に関する大規模なランダム化比較試験の有無は探索していない
