Shuichiro Ogawa
English

Notes ・ updated 2026-08-29

フロンティアモデルと廉価モデルの使い分け(Fable 5 と GPT-5.6 Sol)

1リクエストあたりか、1タスク完了あたりか

Claude Fable 5 は入力100万トークンあたり $10、出力 $50 である。 Claude Haiku 4.5 は $1 と $5 だから、単価表の上では10倍の開きがある。 ここから「安いモデルに寄せれば請求も10分の1になる」と読みたくなる。

そうはならない。 Anthropic が公開した自社計測では、Haiku 4.5 は知識質問を Claude Opus 5 の約10分の1のコストで処理したが、正答率は 63% にとどまった。 同じ設問で Opus 5 は 92% だった。 失敗したリクエストもトークンは請求され、そのあと再試行の分も、失敗が下流に持ち込んだ手戻りも請求される。 だから比較の単位は1リクエストあたりの価格ではなく、1タスク完了あたりのコストになる。

Addy Osmani は2026年7月にこう書いた。 「ティア構造そのものは明確だが、その下にあるモデル × reasoning effort のマトリクスは明確ではない」。 実務家が迷っているのは値段の桁ではなく、この二次元の表のほうである。

直近1年の動き

日付出来事
2025-10-01Claude Haiku 4.5 提供開始($1/$5、文脈 200K)
2026-06-09Claude Fable 5 と Claude Mythos 5 発表。思考が常時オンの初の広範提供モデル
2026-06-12米政府の輸出規制により Fable 5 と Mythos 5 が全ユーザー停止
2026-06-26OpenAI が GPT-5.6 Sol を preview 発表(政府アクセス制限下)
2026-06-30輸出規制が解除、翌 7-01 に Fable 5 再開
2026-07-09GPT-5.6 Sol / Terra / Luna を広範公開
2026-07-24Claude Opus 5 発表($5/$25、Opus 4.8 と同額)
2026-08-05Claude Opus 4.1 retired(置換先は Opus 4.8)
2026-08-21GPT-5.6 Sol 値下げ。$5/$30 から $4/$20 へ
2026-10-23 予定OpenAI が gpt-4-turbo、gpt-4o、o1、o3-mini 等を廃止し Sol / Terra / Luna へ集約

選べるモデルと価格

100万トークンあたりのドル建て。取得日は 2026-08-29。

モデル入力出力文脈窓最大出力位置づけ(ベンダーの記述)
Claude Fable 510.0050.001M128K最も要求の高い推論と長期のエージェント作業
Claude Opus 55.0025.001M128K複数時間の自律コーディング、大規模リファクタ
Claude Sonnet 52.0010.001M128K規模を伴うフロンティア知能。日常のコーディング
Claude Haiku 4.51.005.00200K最も経済的な価格でのフロンティア近傍性能
GPT-5.6 Sol4.0020.001.05M128K複雑な専門作業向けの旗艦
GPT-5.6 Terra2.0012.00知能とコストの均衡
GPT-5.6 Luna0.201.20コスト感度の高いワークロード
Gemini 3.7 Flash0.753.75導入価格(2026-12-31 まで)
Gemini 3.5 Flash-Lite0.302.50大量処理向けの働き手

Sonnet 5 は 2026-09-01 に $3/$15 へ値上げされる予定だったが、価格ページ上でその実施は取り消され、$2/$10 が標準価格として確定した。 Sol の $4/$20 は少なくとも 2026-11-21 まで有効な promotional 価格であると明記されている。 GPT-5.6 Sol には長文の割増があり、入力 272,000 トークンを超えるプロンプトは入力2倍・出力1.5倍で課金される。 Gemini 3.1 Pro Preview にも 20万トークンを境にした二段階の割増がある。 Claude 側には現時点でこの種の割増はない。

キャッシュとバッチの料率は両社でほぼ揃っている。 プロンプトキャッシュの読取はどちらも標準入力の 0.1倍、書込は 1.25倍である。 Batch API はどちらも 50% 引きで、Anthropic 側ではキャッシュの読取と書込にも重ねて効く。

ベンダーが公式に置いたレバーの順序

Anthropic のモデル選択ガイドは、モデルを動かす前に effort を振れと明示している。 “Tuning effort is often a better lever than switching models”。 コスト最適化ガイドはさらに踏み込み、レバーを2種類に分けたうえで適用順序を固定している。

  • 無料の手:プロンプトキャッシュ、入力トークンの整理、ループの整理、出力の整理、バッチ処理。出力品質を下げずに請求だけを下げる。キャッシュは一度入れたら外さない。
  • トレードオフ:task budget、effort、モデル選択、マルチモデル構成。どれも品質と引き換えにコストを下げるので、無料の手を使い切ったあとに回す。

OpenAI も同じ形に着地している。 reasoning.effort は none / low / medium / high / xhigh / max の6段階で、既定は medium。 移行の手順として「今の GPT-5.5 や 5.4 の設定から始め、同じ設定と1段下の設定を試せ」と書かれている。 新規なら medium から始め、レイテンシに厳しいワークロードは low を使う。 出力の詳しさは verbosity(low / medium / high)で別に決められ、難しいタスクには reasoning.mode を pro にする経路もある。

Anthropic が公表した計測値は、この順序が経験則ではなく測定結果であることを示している。

対象設定精度コスト
研究系タスク(Fable 5)low既定比 1〜3 ポイント減1/3〜1/2
研究系タスク(Fable 5)medium既定と同等70〜85%
長時間コーディング(Opus 5)medium約2ポイント減半額
長時間コーディング(Opus 5)low約8ポイント減1/4
深い多分野調査各段階1段ごとに約2.4 ルーブリック点逓減しない

研究系タスクでは、既定の effort が medium に対して測定可能な上積みを4つのベンチマークのいずれでも生まなかった。 所要時間も1問あたり 7.9分 から 4.5分 へ縮んだ。 一方、長時間のコーディングは素直なトレードオフになる。 どちらの曲線を引くかはワークロードの性質で決まるので、他人の数字を自分の設定に流用できない。

失敗を検出できる仕事では、さらに安い型がある。 全件を low で走らせ、失敗したものだけ既定の effort で再実行すると、約93% を1タスクあたり約 $0.70 で処理した。 全件を既定で走らせた場合は 91.7% を $1.39 で処理している。 失敗した安い試行の分を数え込んでも、同等以上の成功率が半額で得られた。 medium から始める型は約94% を約 $0.95 だった。 この型が使えるのはテストや検証器のような判定の仕組みがある場合に限られ、判定器のコストと、失敗時に倍になる実時間を勘定に入れる必要がある。

Fable 5 の使いどころ

Fable 5 で最初に効くのは、価格ではなく API の形が変わっている点である。

  • 思考は常時オンthinking パラメータを渡さないのが正しい。{"type":"disabled"}budget_tokens 指定も 400 で拒否される。深さを制御する手段は output_config.effort だけになる。
  • 生の思考列は返らないdisplay: "summarized" で要約を受け取れるが、既定は "omitted" で thinking の本文は空文字列になる。ユーザーに思考を見せる設計なら明示的に指定する。
  • 30日データ保持が必須:zero data retention の組織からのリクエストは全て 400 で落ちる。
  • 1リクエストが長い:難しいタスクでは15分に及ぶのが通常とされる。移行前にタイムアウト、ストリーミング、進捗表示を設計しておく必要がある。

用途としてベンダーが挙げているのは「一度の着席で終わらない仕事」である。 Claude Code のドキュメントは根本原因の調査、障害のデバッグ、アーキテクチャの判断を名指しし、「望む結果を渡して、そこへ至る道筋は本人に計画させよ」と書いている。

低い effort の扱いには注意がいる。 Anthropic は “Lower effort settings - including low - still perform very well on Claude Fable 5, often exceeding the xhigh or even max performance of previous models” と述べている。 つまり Fable 5 を low で回す選択肢は、旧世代を高 effort で回す選択肢と競合する。 安いモデルへ落とす前に、高いモデルを低い effort で回す構成を先に測るべき理由がここにある。 モデルを混ぜるとキャッシュの名前空間が分かれ、キャッシュ再利用が失われる点も同じ方向に働く。

プロンプトの書き方も変わる。 旧モデル向けに手順を列挙したプロンプトやスキルは、Fable 5 では出力品質を下げる。 目標と制約を述べる形に置き換え、古い足場を外した状態で A/B するのが公式の推奨である。 高い effort では頼まれていない整理や抽象化を始めることがあるため、境界を明示する指示が要る。 並列サブエージェントは安定して動き、同期的に呼んで待つ形より、非同期に通信し続ける形のほうが成績が良い。 長く生きるサブエージェントは文脈を保持するのでキャッシュ読取が効き、最も遅い1体で全体が詰まることもない。

GPT-5.6 Sol の使いどころ

Sol の仕様上の特徴は、文脈窓 1,050,000 のうち入力に使えるのが 922,000 までという非対称と、272,000 トークンを超えると単価が跳ねる段差にある。 知識カットオフは 2026-02-16。 Preparedness Framework では Sol / Terra / Luna の3つとも Cybersecurity と Biological/Chemical が “High” に分類された。 同一ファミリーの小型・高速モデルが High 判定を受けたのはこれが初とされる。

運用上、System Card の記述が2つ効く。 ひとつは Sol が GPT-5.5 に比べて “greater tendency… to go beyond the user’s intent” を示すという点で、許可のない行動の頻度が増えたと明記されている(絶対値は低いとの注記つき)。 もうひとつは、長時間のタスク列で内部のコーディングエージェントを使う場合に “active user supervision” が必要とされている点である。 放置して回す設計とは相性が悪い。

制御の面では Sol のほうが Fable 5 より細かい。 effort は6段階あり、none という段(思考を使わない)が存在する。 出力の詳しさは verbosity で独立に決められる。 GPT-5.6 は 5.5 より既定で簡潔になったとされるので、旧バージョンから移すときは verbosity を上げる方向の調整が要ることがある。 さらに Ultra mode があり、既定で4つのサブエージェントが並列に協調する。 トークン消費と引き換えに複雑な仕事の品質と速度を上げる仕組みで、これは Fable 5 の非同期サブエージェント推奨と同じ方向を向いている。

Sol の下には同じファミリーの Terra と Luna がいる。 Luna は $0.20/$1.20 で、Sol の20分の1の入力単価になる。 同一ファミリー内で降ろせるので、プロンプトの書き換えなしにティアを動かしやすい。

二つ以上のモデルを混ぜるとき

Anthropic が公式に挙げるマルチモデルの型は2つだけである。

  • advisor:安いモデルが実行ループを回し、難しい判断のときだけ上位モデルに相談する。
  • orchestrator:上位モデルが計画し、量の作業を安いワーカーに委譲する。

どちらも引き合う条件が狭い。

advisor が効くのは、2つのモデルの能力差が大きく、かつ実行側が実際に相談する場合だけである。 相談率が壊れやすい変数で、effort を下げると相談がほとんど起きなくなり、実行側単独より成績が落ちる。 相談を適切に起こすには安価な判定の仕組みが要るが、実行側自身に「これは難しい」と気づかせるのは、まさに欠けている判断力を要求することになる。 コーディングベンチでは旗艦同士の組み合わせが最高精度を出したが、フロンティア単独の medium と誤差の範囲であり、コストもほぼ同じだった。

orchestrator が効くのは、渡せる量の作業があるときに限られる。 どの文脈窓にも収まらない規模の作業では、フロンティア単独より 55% 安く済んだ(最良スコアより 3〜7 ポイント下)。 定型的な検索作業では平均コストが約半分、90 パーセンタイルで約3分の1になり、裾に対する保険として働いた。 ただし難しい全体集合では逆転している。 作業が一本の依存の鎖であるか、単一の文脈窓に収まる場合、オーケストレーター構成は計画と受け渡しと統合の費用を払うことになる。 測定されたすべてのケースで、調整役のモデル単独を低い effort で回すほうが上回った。

前提として、この配分の効きはキャッシュとバッチの上に乗る。 エージェントループでキャッシュのヒット率が 81〜90% に乗ると 2.5〜3.7 倍のコスト差が出る。 Batch API は 50% 引きで、キャッシュにも重ねて効く。 モデルを動かす前にここが埋まっているかを見るのが先になる。

中立データが示す前提

使い分けの議論は、モデル間の差そのものが動いている土台の上にある。

英 AI Security Institute は、30以上のフロンティアシステムを2年間継続評価したうえで、オープンウェイトとクローズドフロンティアの能力差が 4〜8ヶ月まで縮んだと報告した。 自律的に達成できるタスクの長さは、2023年末の5分未満から2025年中頃に60分超へ伸び、約8ヶ月ごとに倍増するペースにある。 同じ性能を出すための推論コストは、GPT-3.5 相当で見ると 2022年11月から 2024年10月までに 280分の1 に下がった。

一方で、比較の道具そのものが疑われ始めている。 SWE-bench Verified の解決率は2024年末の約40%から60%超へ上がったが、コーディング課題でベンチマークデータとの逐語一致が確認され、問題文を言い換えると性能が崩れる例が報告された。 Osmani がモデルによる eval のゲーミングに注意を促すのも同じ懸念に基づく。 公開ベンチの数値を自分のワークロードの代理として使えないなら、切り替えの判断は自前の評価に戻ってくる。

コスト低下がそのまま支出減にならない点も押さえておきたい。 Gartner は1兆パラメータ級モデルの推論コストが2030年に2025年比90%超下がると予測する一方、エージェント型の使い方は1クエリあたり 5〜30倍のトークンを要すると述べている[要一次検証]。 McKinsey はエージェント型 AI のコストの 60% が応答の反復修正に費やされていると分析し、単価の高いモデルでも検証時間の短縮が追加コストを上回る場合が多いとしている[要一次検証]。

企業の実際の使い分け

複数モデルの併用は例外ではなく既定になっている。 a16z の CIO 調査では、5モデル以上を使う企業が 29% から 37% に増え、理由はベンダーロックインの回避よりユースケースごとの性能差だった。 LangChain の調査(業界専門家1,340名)では、4社中3社以上が本番と開発でマルチモデルを併用し、優先課題の上位は品質(32%)で、コストへの言及は前年より減っている。

廉価モデルの本番採用率はベンダーによって割れる。 OpenAI の非フロンティアモデルが 67%、Google が 41% に対し、Anthropic は 27% だった。 OpenRouter の約100兆トークンの利用データでは、実効コストの中央値が100万トークンあたり $0.73 で、価格と利用量の相関は弱く、需要は価格に対して非弾力的だと分析されている。 安いモデルが用意されても、そちらに流れるとは限らない。

同じデータで、推論モデルの利用トークンシェアは2025年初頭のごく僅かから後半には 50% 超へ上がり、プログラミング用途のシェアも年内に 11% から 50% 超へ拡大した。 思考する高価なモデルを、コードのために使う方向に全体が寄っている。

実務家の線引き

公式ガイドが effort を第一レバーに置くのに対し、実務家の言葉はもう少し具体的な役割分担を示す。

Simon Willison は Fable 5 を「判断と監査」に、Sonnet を「実装」に、Haiku を「機械的な編集」に割り当てている。 根拠は単純で、実装作業はトップティアのモデルをほとんど必要としない、という観察である。 Claude Code に「すべてのコーディング作業について適切な低性能モデルを判断してサブエージェントで実行せよ」と一文足しただけで、Fable の消費ペースが落ち、作業量は減らなかったと報告している。 判断とレビューと統合だけをメインループに残す形になる。

同じ人物が Sol について書いたのは、Fable でやっている種類の複雑なコーディングでは Fable より優れているとは感じなかった、という評価である。 ただし GPT-5.6 で最も混乱するのはモデルと effort の組み合わせだとして、“Sol on Medium” が旧来の “5.5 xhigh” に代わる新しい既定になり得ると推測している。 Osmani の見立ても近い。 Sol は Fable ほど鋭くはないが非常に有能で、5.5 が抱えていた意図追従とサブエージェント統率の不満の多くを解消した。 予算が逼迫しても出力品質を静かに落とさない点を評価している。

Nathan Lambert は別の角度から単一モデルへの集約を退ける。 モデルの能力は jagged(凸凹)なので、一つに絞れば能力の目減りは避けられない。 本人は情報収集と研究に GPT 系、コード関連と簡易可視化に Claude Opus 系、概念説明とマルチモーダルに Gemini を使い分けている。

Armin Ronacher の観察は反対向きの警告になる。 Fable を使った放置型のハーネスは30分以上人間の介入なしに問題へ取り組めるようになった。 それでも「現在の放置型ハーネスは、去年の秋に作っていたものより悪いコードを生産している」。 モデルが強くなったぶん人間の関与を抜いた結果、成果物の質が下がったという指摘である。 OpenAI が Sol の System Card で長時間タスクに能動的な監督を求めているのと、同じ場所を指している。

決め方の手順

  1. 無料の手を先に埋める:キャッシュのヒット率を測る。cache_read_input_tokens が繰り返しゼロなら、システムプロンプト内の時刻や毎回変わるツール定義がキャッシュを壊している。誰も待っていない処理はバッチに回す。
  2. effort を振る:モデルは動かさず、output_config.effort(Anthropic)または reasoning.effort(OpenAI)だけを変えた同一条件で比べる。難しい事例を必ず混ぜる。曲線が平らならその仕事は低い設定で足りている。
  3. 失敗だけ上げる:テストや検証器がある仕事は、全件を low で走らせて失敗のみ再実行する型を試す。
  4. それでも足りなければモデルを一段だけ動かす:一段下げたら、そのティアが受け付ける effort の範囲を確認し、そのティアの既定値から改めて振り直す。前のティアの設定値を持ち込まない。
  5. 束ねられる量があるときだけ混ぜる:独立した作業が多数あり、どの文脈窓にも収まらないなら orchestrator を検討する。一本の依存の鎖なら混ぜない。
  6. 裾で比べる:中央値では全モデルが似て見え、いちばん安いものが最良に見える。請求額を決めるのは最も難しい1割である。20問の調査タスクでは2問が全支出の 43% を占めた。

避けるべき型

  • 単価表でモデルを選ぶ:比べる単位は1タスク完了あたりのコストである。安いモデルの失敗は、そのトークンと再試行と下流の手戻りを全て請求する。
  • effort を飛ばしてモデルを落とす:最新モデルの低い effort が、前世代の高い effort を上回ることが多い。安いモデルへ移す前に、高いモデルを低い effort で回す構成を測る。
  • 会話の途中で effort を変える:メッセージのキャッシュが無効化される。設定ごとに別のセッションで比べる。
  • モデルを混ぜてキャッシュを割る:キャッシュはモデル単位なので、カスケード構成はモデル間でのキャッシュ再利用を失う。
  • 1件の結果で採否を決める:1タスクの差やセントの差は単発試行では雑音の内側にある。同じ設定で試行を繰り返す。
  • 評価なしで切り替える:公開ベンチは飽和しつつあり、言い換えで崩れる例も報告されている。20〜30件の実リクエストを凍結した最小の評価セットのほうが判断に使える。
  • 強いモデルを放置で回す:Ronacher の観察と OpenAI の System Card が同じ方向を指している。自律時間が伸びたことと、監督を外してよいことは別である。

信頼度の読み方

本ノートは3つのティアを混ぜずに扱っている。

  • T1v ベンダー一次情報:Anthropic と OpenAI と Google が自社の製品について公式に述べた資料(ドキュメント、モデルカード、System Card、料金ページ)。「何ができるか、使い方、制約、価格」の一次権威として扱う。同じ資料内にある、方法論なしの自社優位の断定はコーパス側の marketing-claim 節に分離した(Mythos 5 の脆弱性発見優位、Terra の性能同等主張、Sol の Terminal-Bench SOTA、Fast mode の 2.5倍)。
  • T2 公的機関と調査:英 AISI、NIST CAISI、International AI Safety Report、IEA、欧州委員会、および方法論が明示された調査会社の定量。VC 系(Menlo Ventures、a16z)は投資利害があるため最低でも partial と判定した。
  • T3 個人の私見:技術的権威を確認できる個人の見解として扱い、断定として引かない。検証可能な事実主張には[要一次検証]を付した。

Anthropic の計測値(effort 曲線、失敗のみ再実行、orchestrator の 55%、Haiku 4.5 の 63% 対 92%)は自社ベンチによるもので、ベンチマーク名の一部が非開示である。 方向性の参考にはなるが、自分のワークロードでの再測定を置き換えない。

関連ノート: fable-model-tiering-patternsfrontier-model-premium-history-debate

未検証事項

  • openai.com/index/gpt-5-6/openai.com/index/previewing-ultrafast/ は 403 で本文に到達できず、Sol の公開日、Ultra mode、Ultrafast モードの記述は検索結果の要約に依拠する。[要一次検証]
  • reasoning.mode の standard / pro は該当ページを直接確認できていない。[要一次検証]
  • 推論コスト 280分の1 と SWE-bench Verified の 40%→60% は、arXiv 抄録には到達したが PDF 本文を照合できていない。[要一次検証]
  • IEA のエネルギー効率の数値は IEA サイトが 403 で到達不可。複数の独立記事が同一数値を引用している。[要一次検証]
  • Gartner の予測2件(小型モデル3倍、推論コスト90%減)は原典が 403 で、算出方法論も非開示。[要一次検証]
  • McKinsey のエージェントコスト内訳(60% が応答の反復修正)は WebFetch がタイムアウトし、スニペットのみで確認した。[要一次検証]
  • GPT-5.6 Terra が GPT-5.5 と同等性能とする主張、および Sol が Terminal-Bench 2.1 で SOTA とする主張は、測定条件と評価セットの一次記述に到達できていない。ベンダーの主張として扱う。[要一次検証]
  • 価格対性能のパレートフロンティアを扱う公的機関の一次資料は、収集範囲では見つからなかった。この論点は独立評価機関(LMArena、Artificial Analysis、Epoch AI)の領分にあたる。

参照文献

すべて 2026-08-29 にアクセス。

ベンダー一次情報(T1v)

公的機関と調査(T2)

個人の私見(T3)


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