Notes ・ updated 2026-08-28
同じ絵が、送られてきた瞬間に別のものになる
一枚の絵を、誰かが自分の楽しみのために生成する。 それはスロップとは呼ばれない。 同じ絵が、生成した本人も見ないまま成果物として送られてくると、スロップになる。 絵は一ピクセルも変わっていない。 変わったのは、確かめる手間を誰が負うかだけである。
この語を最初に定着させた記述が、実際にそう書いている。 Willison は2024年5月、slop を「望まれない AI 生成コンテンツ」の名として紹介し、核心を出来の悪さではなく振る舞いに置いた。 自分で検証していないものを他人に押し付けること。 それが失礼にあたる、という原則である。
であればスロップは、物のもつ性質ではない。 作り手と受け手のあいだにある、検証の負担の配分である。
この読み方はデザインの問題にまっすぐ触れる。 デザインは受け手との関係を組み立てる仕事だからだ。 ただし、まっすぐ触れるからといって正しいとは限らない。 ここから確かめるのは、この読み方を学術文献がどこまで支え、どこで支えを失うかである。
語はまだ、何を指すか決まっていない
2024年に技術者コミュニティから出た語が、2026年には Science の巻頭エディトリアルに載っている(Thorp 2026)。 同誌は草稿執筆での AI 利用の開示義務と図表生成 AI の禁止を「AI スロップへの抵抗」として提示した。 語が制度の側に取り込まれた記録である。
だが定義は固まっていない。 Madsen と Puyt (2025) は volume、velocity、variety、value、verification、visibility、virality の7軸で類型化した。 verification がこの7軸に入っていることは、後の議論で効いてくる。 Galip と Lupinacci (2026) は、やりすぎと物足りなさが同居する「gimmick」の概念でスロップと brainrot を捉え、労働を節約する脱技能化と、注意を奪うための過剰な演算という両面を同時に指摘した。
スロップを擁護する立場もある。 Kommers ら (2026) は、スロップを汚染物ではなく「人間が供給できる以上のコンテンツ需要に対する供給側の解」とみなし、独自の美的価値と集合的な意味形成の機能を認めた。 これに対する応答 (Nishal, Sax & Kieslich 2026) は、その議論が社会技術的な文脈を無視していると批判している。 論争そのものが現在進行形で、まだ決着していない。
測定の側も同じである。 Shaib ら (2025) は、AI スロップには合意された定義も測定手段も存在しないという前提から出発し、専門家への聞き取りをもとに質の評価次元の分類体系を構築した。 「これはスロップか」という二値判定は主観に振れるが、一貫性や関連性といった下位要因とは相関する、というのが現状の到達点である。
ハルシネーションとも、ブルシットとも違う
近い語との差を先に片づけておく。
Hicks、Humphries、Slater (2024) は、LLM の誤出力を「ハルシネーション」と呼ぶのは不正確だと論じた。 幻覚は知覚の失敗を含意するが、LLM は真偽を目指して失敗しているのではない。 Frankfurt の意味での bullshit、すなわち真理への無関心が正確だ、という議論である。 Hannigan、McCarthy、Spicer (2024) はここに人間の側を足した。 チャットボットの出力は知識ではなく予測であり、それを人が無批判に業務へ持ち込んだ結果を botshit と呼ぶ。
この二つは出力の認識論的な地位を問題にしている。 スロップは違う。 出力が正しいか誤っているかを問う前に、誰も確認していないという一点で成立する。 正確な内容でも、検証されず押し付けられればスロップである。
だからスロップは、精度を上げれば消える問題ではない。
個人の作品はよくなり、集団は似てくる
創造性の実証研究には、方向のそろった結果が積み上がっている。
Doshi と Hauser (2024) は、LLM のアイデアに触れた書き手の短編が、創造性でも完成度でも面白さでも高く評価されることを示した。 効果はもともと創造性の評価が低かった書き手で大きい。 同じ実験が、もう一つの結果を出している。 AI 支援を受けた作品どうしは互いによく似ており、集団としての新規性は下がっていた。
この非対称は繰り返し再現されている。 Moon、Green、Kushlev (2025) は大学入試エッセイ2,200件を事前登録の3研究で分析し、新しく作った指標で測った。 人間のエッセイを1本足したときに増えるアイデアの新規性は、GPT-4 のエッセイ1本が増やす量の2倍から8倍だった。 プロンプトやパラメータを調整して多様性を上げようとしても、均質化は残った。
Padmakumar と He (2024) は、どこで均質化が起きているかを切り分けている。 論説文の協働執筆で有意な多様性の低下が出たのは、RLHF で調整された InstructGPT を使った条件だけで、base の GPT-3 では有意差がなかった。 低下は主にモデルが差し出すテキストの均質性から来ており、利用者が自分で書いた部分は影響を受けていない。 Wenger と Kenett (2026) はさらに、LLM 同士の似かたが人間同士の似かたよりはるかに強いことを報告した。
Zhou と Lee (2024) の大規模観察データは、量と質の両方を同時に見せる。 作品400万点、利用者5万人を超えるプラットフォームで、text-to-image を採用した作者の生産量は直後に50%増え、翌月には倍になった。 評価も上がっている。 そして平均的なコンテンツの新規性と視覚的な新規性は下がっていた。
生成された画面が、どれも同じ顔をしている理由
デザインの実務者が最初に気づくのは、統計より先に見た目である。
Simonen ら (2026) は Midjourney の生成画像75万枚超を計算的に分析し、互いに無関係な多数のプロンプトが酷似した画像へ収束することを示した。 著者らはこれを「デフォルト画像」と呼んでいる。 Declos (2026) は美学の側から、生成 AI の画像に系統的に現れる偏りを5つ挙げた。 文化的な偏り、容姿の美化、スペクタクル性、彩度とコントラストの誇張、キッチュな対称性である。 この偏りは文化的多様性を脅かし、美的な泡を作る、というのが論旨だ。
見た目の均質さは、判断にも跳ね返る。 Kurosu と Kashimura (1995) が252名の実験で示したのは、見かけの使いやすさの評価が、実際の使いやすさよりも美的印象と強く相関するという事実だった。 Tuch ら (2012) は、視覚的な複雑さと典型性が呈示から50ミリ秒で美的評価を決めることを示している。 生成物は典型性の高い見た目に寄りやすい。 だから「よさそう」という第一印象は通りやすく、その印象は質の判断とずれる。
制作プロセスの側にも影響が出る。 Wadinambiarachchi ら (2024) は被験者間実験(N=60)で、AI 画像生成ツールを使った視覚的アイデア出しが、使わない条件より固着を強め、流暢性、多様性、独創性のいずれも下げることを報告した。 Jansson と Smith (1991) が示した design fixation、つまり先に見た例に縛られる現象が、生成ツールによって強められている。
ここまでは「出力が似ている」という話である。 なぜそれがスロップという別の名を必要とするのか。
リスクの職人仕事という座標
Pye (1968) は制作を二つに分けた。
リスクの職人仕事は、結果が制作中の判断と技量と注意に依存し、最後の瞬間まで失敗しうる仕事である。 彫刻刀は滑る。 滑れば作り手が損をする。
確実性の職人仕事は、結果が作業を始める前に決まっている仕事である。 型と治具と機械が、出来上がるものをあらかじめ拘束する。 量産はこちらに属し、そのぶん品質の保証は工程の側に埋め込まれる。
生成 AI による制作は、このどちらでもない。 出力は事前に決まっていないから、確実性の仕事ではない。 かといってリスクの仕事でもない。 プロンプトは結果をある程度左右するが、制作の途中で連続的に加えられる判断が結果を作るわけではないからだ。
残るのは、結果が不確かなまま、そのリスクを引き受ける者が作り手の位置にいない、という構図である。 確かめずに渡せば、損をするのは受け手になる。 Willison の定義が指していたのは、この構図そのものだった。
Schön (1992) の言葉を借りると、事情はもう少し具体的になる。 設計とは、素材が返す予期せぬ応答(backtalk)と対話しながら、問題と解を同時に組み立てていく行為だった。 生成モデルも応答を返す。 だが応答は、読まれてはじめて対話になる。 読まずに次へ流すなら、返ってきたものは素材ではなく在庫である。
Sennett (2008) が熟練を反復と抵抗を通じた身体的な知の獲得として描き、Ingold (2013) が制作を作り手と素材の対応として描いたとき、両者が前提していたのは、作り手が抵抗を引き受けるという事実だった。 抵抗を下流へ渡す制作が新しい。
Hernández-Ramírez と Ferreira (2024) は、生成 AI によるデザイン労働終焉論をマネジャリズム批判として読み替え、デザイン労働は手続き化と自動化に還元できないと論じた。 この主張は、リスクを誰が引き受けるかという問いに置き直すと、より狭く、より検証しやすい形になる。
制作だけが安くなった
構図を経済の側から見ると、非対称がはっきりする。
Zhang と Zhang (2025) は一般均衡モデルで、LLM が低品質な合成コンテンツの限界費用を非対称に押し下げる一方、高品質な生産の費用は変わらないことを示した。 汚染へ向かう構造的な誘因がここに生まれる。 検証の費用も下がらない。 むしろ検証すべき対象の量に比例して増える。
実測はこの予測と整合している。
Wu ら (2026) は Spotify のメタデータ2億5,600万曲を Deezer の検出器と突き合わせ、新規リリースに占める AI 生成音楽が2024年1月の1%未満から2025年11月の40%超へ増えたと報告した。 AI 楽曲の92.7%は再生数1,000未満である(人間の楽曲では67.5%)。 11の配信事業者へ実際にアップロードする実験では、表示ポリシーが機能していなかった。
Chakrabarty ら (2026) は Amazon の自主出版ジャンル小説14,419冊を全文検出にかけ、2023年初頭にほぼ100%だった非 AI 本の売上シェアが2026年第2四半期には約60%まで落ちたと報告した。 Dolezal ら (2026) は Internet Archive のスナップショットから、2025年半ばまでに新規公開ウェブサイトの約35%が AI 生成または AI 支援であると判定している。 同じ研究は、AI 生成テキストの増加が意味的多様性の低下と相関する一方、事実精度への悪影響は統計的に支持されなかったとも述べている。 量の問題と正確さの問題は別だ、という結果である。
検証費用が誰に届くかを、一つの現場が数字で示した。 curl のセキュリティチームは、2025年にバグバウンティ提出の約20%が AI 生成のスロップだったと報告している(Stenberg 2025)。 真正な脆弱性の確認率は従来の15%超から5%未満へ落ちた。 6年間で、AI が単独で生成した報告から本物の脆弱性が見つかったことは一度もない。 2026年1月、同プロジェクトはバグバウンティ制度そのものの停止を告知した(Stenberg 2026)。 これらの数値は運営者本人の自己集計であり、第三者の検証を経ていない。 それでも、検証コストの転嫁が制度を畳ませた事例として、他に代えがたい。
同じ構図は学術出版にもある。 Tang と Cai (2025) は2013年から2024年の系統的レビュー20万件を検査し、0.15%にあたる299件が撤回済みのペーパーミル論文を証拠合成に組み込んでいたことを見つけた。 撤回後の引用も124件あった。
そして、汚染は入力へ戻る。 Shumailov ら (2024) は、生成物を無差別に次世代の訓練データへ混ぜると分布の裾が失われる model collapse を実証した。 Yu、Kim、Kim (2026) は、検索と RAG が AI 生成コンテンツを情報源として消費する構造を retrieval collapse として定式化している。 Tredinnick と Laybats (2025) が epistemic decay と呼んだのは、今日の合成物が明日の訓練データになるという再帰そのものだった。
Akerlof のレモン市場を AI システムの選択に持ち込んだ実験もある。 Erlei ら (2026) は N=330 の被験者間計画で、精度だけを開示する部分的な開示が委任判断の効率を有意に改善する一方、完全に開示しても優良なシステムへの依存が過小なままであることを示した。 質が見えない市場では、質の高い供給が報われにくい。
見分けられないのに、告げられると評価が下がる
受け手の側には、一見すると噛み合わない二つの事実がある。
一つめ。人は AI 生成物を見分けられない。 Porter と Machery (2024) の実験では、AI 生成詩の識別精度は46.6%と偶然を下回った。 参加者は AI の詩のほうを人間の作だと判断しがちで、リズムや美しさの評価の高さがその誤りに寄与していた。 Köbis と Mossink (2021) は830名の実験で、人間が出力を選別した条件では判別できず、無選別の条件では判別できることを示している。 選ぶ人がいるかどうかが、見分けられるかどうかを決めていた。
二つめ。それでも、AI が作ったと告げられると評価は下がる。 Raj、Berg、Seamans (2026) は事前登録の16実験、参加者27,491名という規模で、創作文章に AI の関与を開示すると評価が一貫して低下することを示した。 効果は知覚された真正性に媒介され、評価指標を変えても、文脈を変えても、コンテンツの種類を変えても残る。 視点を変える、擬人化する、協働という枠で語る、といった緩和策の多くは効かなかった。 Ansani ら (2025) は同一の演奏音源を人間と AI で偽って呈示し、AI と信じた条件で評価が下がることを確認している。 Magni、Park、Chao (2024) は参加者2,039名の4実験で、同じ生成物でも AI 作と伝えられると創造性の評価が落ちることを示し、人間の判断者を創造性のゲートキーパーとして位置づけた。
二つの事実は矛盾していない。 評価されているのは作品ではなく、由来のラベルだからである。
何がラベルを効かせているのかも、ある程度わかっている。 Kruger ら (2004) の努力ヒューリスティックは、制作にかかった労力が多いと伝えられた作品を人が高く評価することを示した基礎研究である。 Heimstad、Wien、Gaustad (2025) は事前登録の2実験で、AI 作というラベルが知覚された努力の低さを媒介して創造性評価を下げる経路を確認した。 Newman と Bloom (2012) は、オリジナルが複製より高く評価される機構を、唯一の創造的行為の物語と、制作者との物理的な接触に分解している。 Arielli (2024) は美学の側から、制作に要する労力と時間と熟練の投資が下がったことが、AI 生成物への否定的な評価を暗黙に駆動していると整理した。
デザインの実務にとって、ここには具体的な帰結がある。 「人が作った」が品質の保証として使われはじめている。 だがそれは質の判断ではなく、質の判断の代理である。 代理が働くのは、由来が正しく申告されているあいだだけだ。 Rijsbosch、van Dijck、Kollnig (2026) は EU AI Act のもとでの透かしの実装状況を調査し、機械可読なマーキングと目に見える表示のあいだに実装の隔たりがあることを報告している。 規制の要求と技術の実行可能性は、まだそろっていない。
編集者になる、という答えの足りなさ
役割の移行は、すでに観測されている。
Jang (2026) は学部生34名を対象に、生成 AI を使うワークフローと従来のデジタル制作を比較し、デザイナーの役割が制作者から出力のキュレーターへ移る際の認知的な取引を検討した。 Hall (2025) は生成 AI 時代のデザイナーに4つの役割を割り当てている。 アドボケート、キュレーター、オーケストレーター、感情の仲介者である。 Tsao ら (2025) は2022年から2025年の実証研究57本をスコーピングレビューし、創造専門職が単純な受容でも拒絶でもなく、統制を保ちながら新機能を使う戦略を発達させていると総括した。 身体的な実践を重んじる分野ほど抵抗が強い、という指摘もある。
ただし「編集者になる」は、それ自体では検証の外部化を止めない。
Anderson、Shah、Kreminski (2024) の N=36 の比較実験は、ChatGPT を使った参加者がより詳細なアイデアをより多く出す一方で、生成物への当事者意識が下がることを示した。 選ぶ側に回ることと、選んだものの責任を引き受けることは、自動的にはつながらない。
現場の開示規範も、それを裏づける。 Hwang ら (2026) が記述したのは、フリーランス労働者が AI の利用を事前に開示せず、問題が起きてから対応する戦略を採っているという実態である。 誰がどこまで検証したのかが見えないまま、成果物だけが流通する。
そして、検証を引き受ける役割に値段が付くかどうかは、まだ決着していない。 Demirci、Hannane、Zhu (2025) は、ChatGPT 公開後8ヶ月でライティングとコーディングの求人が21%減り、画像生成 AI の公開後は画像制作系の求人が17%減ったと報告した。 残った求人はより複雑で高単価になっている。 Hui、Reshef、Zhou (2024) は、影響を強く受ける職種のフリーランサーで雇用と収入が減り、高い評価を得ていた人ほど不利益を受けるという示唆的な証拠を示した。 Teutloff ら (2025) の300万件超の求人分析では、代替可能なスキルの需要が20%から50%減る一方、補完的なスキルの需要は増えている。
検証は補完的なスキルの側にある。 それが値段として現れるかどうかが、外部化が止まるかどうかを決める。
この読み方が外れるとき
ここまでの読み方、すなわちスロップを検証の外部化とみる立場が誤りになる条件を、三つ書いておく。
第一に、検証の費用が実際に下がるなら。 検出器と来歴技術が安価かつ確実に働けば、確認は自動化され、押し付けは成立しなくなる。 現状はそこにない。 透かしの実装には隔たりがあり(Rijsbosch et al. 2026)、検出器の信頼性そのものが研究対象の段階にある(Sun et al. 2025)。 だが技術の問題であるかぎり、解ける可能性は残る。
第二に、受け手が検証を求めていないなら。 Kommers ら (2026) の立場、つまりスロップを需給ギャップへの供給側の解とみる読みが正しければ、外部化は害ではなく取引になる。 安く大量に受け取ることと引き換えに、確認しないことを受け手が選んでいる、という記述である。 この立場への応答(Nishal et al. 2026)は文脈依存性を要求しており、論争は閉じていない。 少なくとも、すべての受け手が確認を望んでいると仮定するのは早い。
第三に、均質化がモデル側で解けるなら。 Padmakumar と He (2024) が base モデルで有意差を見なかった以上、均質化の少なくとも一部は事後調整に由来する可能性がある。 それが調整で解けるなら、多様性の低下はデザインの問題ではなく、モデル設計の問題として処理される。
本ノートの射程も限っておく。 スロップの測定基準は未確立である(Shaib et al. 2025)。 量の推定に使われた研究の多くは査読前のプレプリントで、検出器の精度に依存している。 語自体が2024年に成立したため、査読を経た実証の蓄積は薄い。 日本語圏のデータは、今回の探索の範囲にない。
残る問いは一つに絞れる。 検証を引き受ける仕事に、どうやって値段を付けるか。 デザインの職能がこれから答えるのは、たぶんそこである。
関連ノート
- maker-to-editor-paradigm:制作者から編集者への役割移行を、学術19件と産業15件で分析したノート。本ノートの「編集者になる、という答えの足りなさ」はここへの補足にあたる。
- subtractive-creativity-design:引き算を付加と対称な生成操作として扱う論考。選ばないことの位置づけで接する。
- hallucination-as-creativity-resource-literature:ハルシネーションを創造性の資源とみる議論の文献地図。本ノートはハルシネーションとスロップを別の問題として切り分けている。
- generative-art-literature:ジェネラティブアートの学術研究94件の地図。AI ラベルが評価を下げる受容実証はここでも扱う。
- design-value-dimensions:デザインの価値を複数の次元で捉える整理。品質判断の代理指標を考えるときの前提になる。
- llm-as-a-judge-literature:LLM に評価をさせる研究の系譜。検証コストを機械へ戻せるかという問いに接続する。
- vibe-coding-design-production:ボトルネックが「作る」から「判断する」へ移ったという産業側の観測。
- adoption-approval-paradox:利用率9割と肯定1割の乖離。開示ペナルティと同じ地層にある。
- slop-countermeasures-history:低品質な生成物とその対策の循環を、印刷術以後から2026年まで追った姉妹ノート。本ノートのテーゼを歴史の側から検証している。
- slop-design-history:同じ問いをデザイン史のディシプリンから見直した姉妹ノート。デザインという職能そのものが最初のスロップ対策として制度化された経緯を追い、本ノートの定義が趣味批判を迂回できる利点をもつことを示している。
参照文献
概念と語の来歴
- Willison, S. (2024). Slop is the new name for unwanted AI-generated content. https://simonwillison.net/2024/May/8/slop/ (語の来歴の一次証拠として使用。学術文献ではない)
- Madsen, D. Ø. & Puyt, R. W. (2025). The 7Vs of AI Slop: A Typology of Generative Waste. SSRN. https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=5558018
- Madsen, D. Ø. & Puyt, R. W. (2025). When AI turns culture into slop. AI & Society. https://doi.org/10.1007/s00146-025-02630-1
- Kommers, C., Duede, E., Gordon, J., Holtzman, A., McNulty, T., Stewart, S., Thomas, L., So, R. J., & Long, H. (2026). Why Slop Matters. ACM AI Letters 1(1), 1–6. https://doi.org/10.1145/3786777
- Nishal, S., Sax, M., & Kieslich, K. (2026). Why AI Slop Matters, but Not Like That. ACM AI Letters. https://doi.org/10.1145/3828758
- Galip, I. & Lupinacci, L. (2026). Degenerative AI: AI slop, brainrot, and the gimmick of generative culture. European Journal of Cultural Studies. https://doi.org/10.1177/13675494261468638
- Thorp, H. (2026). Resisting AI slop. Science. https://doi.org/10.1126/science.aee8267
- Shaib, C., Chakrabarty, T., Garcia-Olano, D., & Wallace, B. C. (2025). Measuring AI “Slop” in Text. arXiv:2509.19163. https://arxiv.org/abs/2509.19163
- Hicks, M. T., Humphries, J., & Slater, J. (2024). ChatGPT is bullshit. Ethics and Information Technology 26, 38. https://doi.org/10.1007/s10676-024-09775-5
- Hannigan, T. R., McCarthy, I. P., & Spicer, A. (2024). Beware of botshit: How to manage the epistemic risks of generative chatbots. Business Horizons 67(5), 471–486. DOI 10.1016/j.bushor.2024.03.001 (出版社ページでの直接確認は未了)
創造性と均質化
- Doshi, A. R. & Hauser, O. P. (2024). Generative AI enhances individual creativity but reduces the collective diversity of novel content. Science Advances 10(28). https://doi.org/10.1126/sciadv.adn5290
- Moon, K., Green, A. E., & Kushlev, K. (2025). Homogenizing effect of large language models (LLMs) on creative diversity. Computers in Human Behavior: Artificial Humans 6, 100207. https://doi.org/10.1016/j.chbah.2025.100207
- Anderson, B. R., Shah, J. H., & Kreminski, M. (2024). Homogenization Effects of Large Language Models on Human Creative Ideation. Creativity & Cognition 2024, 413–425. https://doi.org/10.1145/3635636.3656204
- Padmakumar, V. & He, H. (2024). Does Writing with Language Models Reduce Content Diversity? ICLR 2024. https://doi.org/10.48550/arXiv.2309.05196
- Wenger, E. & Kenett, Y. N. (2026). Large language models are homogeneously creative. PNAS Nexus 5(3), pgag042. https://doi.org/10.1093/pnasnexus/pgag042
- Zhou, E. & Lee, D. (2024). Generative artificial intelligence, human creativity, and art. PNAS Nexus 3(3), pgae052. https://doi.org/10.1093/pnasnexus/pgae052
- Simonen, H., Kiviniemi, A., Johnston, H., Barranha, H., & Oppenlaender, J. (2026). An Exploration of Default Images in Text-to-Image Generation. CHI 2026. https://doi.org/10.1145/3772318.3790681
- Declos, A. (2026). AI and Aesthetic Bias. The Journal of Aesthetics and Art Criticism. https://doi.org/10.1093/jaac/kpag027
- Nannicelli, T. (2025). Mass AI-Art: A Moderately Skeptical Perspective. The Journal of Aesthetics and Art Criticism 83(4), 343–357. https://doi.org/10.1093/jaac/kpaf026
- Wadinambiarachchi, S., Kelly, R. M., Pareek, S., Zhou, Q., & Velloso, E. (2024). The Effects of Generative AI on Design Fixation and Divergent Thinking. CHI 2024. https://doi.org/10.1145/3613904.3642919
- Jansson, D. G. & Smith, S. M. (1991). Design Fixation. Design Studies 12(1), 3–11. https://doi.org/10.1016/0142-694X(91)90003-F
デザイン理論とクラフト
- Pye, D. (1968). The Nature and Art of Workmanship. Cambridge University Press.(再版: Bloomsbury, 2022, ed. Ezra Shales, ISBN 9781350004528)
- Schön, D. A. (1992). Designing as Reflective Conversation with the Materials of a Design Situation. Knowledge-Based Systems 5(1), 3–14. https://doi.org/10.1016/0950-7051(92)90020-G
- Schön, D. A. (1983). The Reflective Practitioner: How Professionals Think in Action. Basic Books. ISBN 9780465068784
- Sennett, R. (2008). The Craftsman. Yale University Press. ISBN 9780300119091
- Ingold, T. (2013). Making: Anthropology, Archaeology, Art and Architecture. Routledge. ISBN 9780415567237
- Nelson, H. G. & Stolterman, E. (2012). The Design Way: Intentional Change in an Unpredictable World, 2nd ed. MIT Press. ISBN 9780262526708
- Cross, N. (2001). Designerly Ways of Knowing: Design Discipline Versus Design Science. Design Issues 17(3), 49–55. https://doi.org/10.1162/074793601750357196
- Hernández-Ramírez, R. & Ferreira, J. B. (2024). The Future End of Design Work. She Ji 10(4), 414–440. https://doi.org/10.1016/j.sheji.2024.11.002
- Kurosu, M. & Kashimura, K. (1995). Apparent Usability vs. Inherent Usability. CHI ‘95 Conference Companion. https://doi.org/10.1145/223355.223680
- Tuch, A. N., Presslaber, E. E., Stöcklin, M., Opwis, K., & Bargas-Avila, J. A. (2012). The Role of Visual Complexity and Prototypicality Regarding First Impression of Websites. International Journal of Human-Computer Studies 70(11), 794–811. https://doi.org/10.1016/j.ijhcs.2012.06.003
評価と由来
- Raj, M., Berg, J. M., & Seamans, R. (2026). The Artificial Intelligence Disclosure Penalty: Humans Persistently Devalue AI-Generated Creative Writing. Journal of Experimental Psychology: General 155(4), 896–915. https://doi.org/10.1037/xge0001889
- Porter, B. & Machery, E. (2024). AI-generated poetry is indistinguishable from human-written poetry and is rated more favorably. Scientific Reports 14, 26133. https://doi.org/10.1038/s41598-024-76900-1
- Köbis, N. & Mossink, L. D. (2021). Artificial intelligence versus Maya Angelou. Computers in Human Behavior 114, 106553. https://doi.org/10.48550/arXiv.2005.09980 (出版版 DOI は直接確認していない)
- Ansani, A., Koehler, F., Giombini, L., Hämäläinen, M., Meng, C., Marini, M., & Saarikallio, S. (2025). AI Performer Bias. Empirical Studies of the Arts 43(2), 1137–1161. https://doi.org/10.1177/02762374241308807
- Magni, F., Park, J., & Chao, M. M. (2024). Humans as Creativity Gatekeepers: Are We Biased Against AI Creativity? Journal of Business and Psychology 39(3), 643–656. https://doi.org/10.1007/s10869-023-09910-x
- Kruger, J., Wirtz, D., Van Boven, L., & Altermatt, T. W. (2004). The Effort Heuristic. Journal of Experimental Social Psychology 40, 91–98. https://psycnet.apa.org/record/2003-11126-009 (DOI 未確認)
- Heimstad, S. B., Wien, A., & Gaustad, T. (2025). Machine heuristic in algorithm aversion. Computers in Human Behavior: Artificial Humans 7, 100190. https://doi.org/10.1016/j.chbah.2025.100190
- Newman, G. E. & Bloom, P. (2012). Art and authenticity: The importance of originals in judgments of value. Journal of Experimental Psychology: General 141(3), 558–569. https://doi.org/10.1037/a0026035
- Arielli, E. (2024). Effort in Aesthetic Appreciation: from Avant-Garde to AI. Proceedings of the European Society for Aesthetics 16. https://www.eurosa.org/wp-content/uploads/Arielli.pdf
- Hitsuwari, J., Ueda, Y., Yun, W., & Nomura, M. (2023). Does human–AI collaboration lead to more creative art? Computers in Human Behavior 139, 107502. https://doi.org/10.1016/j.chb.2022.107502
情報環境と費用構造
- Zhang, Y. & Zhang, T. (2025). The Economics of Information Pollution in the Age of AI. arXiv:2509.13729. https://arxiv.org/abs/2509.13729
- Wu, S., Passananti, J., Mittal, V., Ding, W., Zheng, H., & Zhao, B. Y. (2026). An Empirical Analysis of AI Slop in Music Streaming. arXiv:2606.18052. https://arxiv.org/abs/2606.18052
- Chakrabarty, T., Liu, X., Ginsburg, J. C., & Dhillon, P. (2026). Generative AI floods and dilutes the market for books. arXiv:2607.20349. https://arxiv.org/abs/2607.20349
- Dolezal, J., Alam, S., Graham, M., & Bohacek, M. (2026). The Impact of AI-Generated Text on the Internet. arXiv:2604.26965. https://arxiv.org/abs/2604.26965
- Stenberg, D. (2025). Death by a thousand slops. https://daniel.haxx.se/blog/2025/07/14/death-by-a-thousand-slops/
- Stenberg, D. (2026). The end of the curl bug-bounty. https://daniel.haxx.se/blog/2026/01/26/the-end-of-the-curl-bug-bounty/
- Shumailov, I., Shumaylov, Z., Zhao, Y., Papernot, N., Anderson, R., & Gal, Y. (2024). AI models collapse when trained on recursively generated data. Nature 631(8022), 755–759. https://doi.org/10.1038/s41586-024-07566-y
- Alemohammad, S. et al. (2023). Self-Consuming Generative Models Go MAD. ICLR 2024. https://arxiv.org/abs/2307.01850
- Yu, H., Kim, D., & Kim, Y.-B. (2026). Retrieval Collapses When AI Pollutes the Web. WWW ‘26. https://doi.org/10.1145/3774904.3792955
- Tredinnick, L. & Laybats, C. (2025). Epistemic decay: Generative artificial intelligence and the recombination of culture. Business Information Review 42(3), 148–151. https://doi.org/10.1177/02663821251369460
- Bevendorff, J., Wiegmann, M., Potthast, M., & Stein, B. (2024). Is Google Getting Worse? ECIR 2024, Part III, 56–71. https://doi.org/10.1007/978-3-031-56063-7_4
- Tang, G. & Cai, H. (2025). Citation Contamination by Paper Mill Articles in Systematic Reviews of the Life Sciences. JAMA Network Open. https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2025.15160
- Erlei, A., Cau, F., Georgiev, R., Kumar, S., Bizer, K., & Gadiraju, U. (2026). When Life Gives You AI, Will You Turn It Into A Market for Lemons? CHI 2026. https://arxiv.org/abs/2601.21650
- Sun, Z. et al. (2025). Are We in the AI-Generated Text World Already? ACL 2025. https://aclanthology.org/2025.acl-long.1120/
- Rijsbosch, B., van Dijck, G., & Kollnig, K. (2026). Missing the Mark: Adoption of Watermarking for Generative AI Systems in Practice. Policy & Internet. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/poi3.70041
労働と役割
- Hui, X., Reshef, O., & Zhou, L. (2024). The Short-Term Effects of Generative Artificial Intelligence on Employment. Organization Science 35(6), 1977–1989. https://doi.org/10.1287/orsc.2023.18441
- Demirci, O., Hannane, J., & Zhu, X. (2025). Who Is AI Replacing? Management Science 71(10). https://doi.org/10.1287/mnsc.2024.05420
- Teutloff, O., Einsiedler, J., Kässi, O., Braesemann, F., Mishkin, P., & del Rio-Chanona, R. M. (2025). Winners and losers of generative AI. Journal of Economic Behavior & Organization 235. https://doi.org/10.1016/j.jebo.2024.106845
- Hwang, A. H.-C., Wong, S., Chen, B., He, J., & Do, H. J. (2026). “Better Ask for Forgiveness than Permission”: Practices and Policies of AI Disclosure in Freelance Work. CHI 2026. https://arxiv.org/abs/2603.07459
- Jang, S. Y. (2026). From Designer to Curator: Cognitive and Creative Trade-offs in GenAI-Assisted Design. Fashion and Textiles. https://doi.org/10.1186/s40691-026-00459-w
- Hall, W. (2025). The Changing Definition of Designers in the Age of Generative AI. Visible Language 59(2). https://doi.org/10.34314/5f2rbj12
- Tsao, J., Liang, C., Nogues, C., & Wong, A. (2025). Perceptions and Integration of Generative Artificial Intelligence in Creative Practices and Industries. AI & Society. https://link.springer.com/article/10.1007/s00146-025-02667-2
未検証事項
本文または参照文献で書誌が未確定、あるいは本文への到達が未達のものを集約する。
コーパス全体(92件)の未検証項目は source/review/ai-slop/papers.md の末尾にある。
- Hannigan ら (2024) の DOI を出版社ページで直接確認していない(書誌自体は複数ソースで一致)。
- Köbis と Mossink (2021) の出版版 DOI を直接確認していない。
- Kruger ら (2004) の DOI 番号を DOI 解決で確認していない。
- Heimstad ら (2025) の著者名は検索結果のスニペットでのみ確認した。
- Jang (2026) の本文は認証壁により未到達で、被験者34名以外の条件設定を確認していない。
- Tsao ら (2025) の DOI 番号が未確定。
- curl の数値(提出の約20%、確認率15%超から5%未満、6年間ゼロ)は運営者本人の自己集計で、第三者検証を経ていない。
- Wu ら (2026)、Chakrabarty ら (2026)、Dolezal ら (2026)、Zhang と Zhang (2025)、Erlei ら (2026)、Hwang ら (2026) はいずれも査読前のプレプリント、または会議採録前の版である。量の推定はいずれも検出器の精度に依存する。
- Wenger と Kenett (2026) が比較した LLM のモデル名と台数を確認していない。
- 「スロップ=検証の外部化」という定式を明示した先行文献は、今回の探索の範囲では見当たらなかった。探索の網羅性は保証していない。