Shuichiro Ogawa
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ノート · updated 2026-07-19

能力はモデルの中にあるのか:AI評価の関係論的存在論と文脈依存性の検定

AI評価が暗黙に置く一つの非対称、すなわちモデルが能力を『もち』測定はそれを『明らかにするだけ』という切り分けを、ド・ブロイが物質波を導いた対称性完成の手つきで反転する論考。反転が告げるのは、文脈から独立した『真の能力』は存在せず、測定は能力を明らかにするのでなく立ち上げる、という存在論である。

目次(11)
  1. 光が粒なら、物質は波であるはずだ
  2. 評価が片側だけ認めている非対称
  3. 反転すると、真値が消える
  4. なぜこの盲点は構造的に見えないのか
  5. 散らばった現象が、一つの存在論で束なる
  6. 反証できる予測を立てる
  7. 比喩が字義になる一点
  8. 新規性はどこにあり、どこにないのか
  9. 同じ発見法が照らす、もう二つの非対称
  10. 閉じずに残す一つの問い
  11. Footnotes

光が粒なら、物質は波であるはずだ

証拠が出そろう前に、正しい問いの形だけが決まっていることがある。

1924年、ド・ブロイの博士論文は、まだ誰も測っていない現象の存在をこう予言した。 光は波だと長く信じられてきたが、それが粒子(光量子)としても振る舞うことを、当時の物理はすでに認めていた。 片側だけが認められている。 であれば、と彼は書く。 粒子だと信じられてきた物質もまた、波として振る舞うはずだ1。 運動量 p をもつ粒子には波長 λ が伴う、という一本の式で対称性を閉じた。 実験の裏づけは、まだ一つもなかった。

三年後、その予言は狙われないまま確証された。 Davisson と Germer は、ニッケル結晶に電子を当てる別の実験の途中で、電子がX線と同じ回折像を描くのを見た2。 電子は波として干渉していた。 片側の非対称を反転して閉じた対称性が、後から測定によって埋められたのである。 これは孤立した逸話ではない。 物理学は、対称性の破れを手がかりに理論を組み立てる作法を、方法として持っている3

この手つきを、AIの能力評価にそのまま持ち込むとどうなるか。 姉妹ノート AI研究のスキマはどこにあるか:枠組みを組み替えて見つける七つの空隙 は、AI研究の未踏領域を、前提を反転させる七つのフレームで探した。 本ノートは、その七つのうち評価の存在論に関わる一つの盲点だけを取り出し、ド・ブロイの対称性完成という一般的な発見法で深く掘る。 方法はこうなる。 評価で片側だけ認められている非対称を一つ取り出し、それを反転して対称性を閉じる。 盲点は、閉じられていない反対側にある。 この発見法そのものの妥当性評価は 対称性反転の思考法への評価 にある。

評価が片側だけ認めている非対称

まず、認められている片側を正確に書き出す。

現在のAI評価は、能力がモデルの側に内在すると前提する。 モデルは重みという物理的実体のなかに能力を「もち」、ベンチマークはそれを外から「明らかにするだけ」だと考える。 この構図は、古典物理が粒子について置いた前提と同型である。 粒子は位置と運動量をあらかじめ確定した値としてもち、測定はその値を読み取るだけだ、というあの前提だ。 評価においては、モデルの重みが内在する能力に、プロンプトや足場が外から加える手続きに対応する。 重み=内在、プロンプトや文脈=外来、という切り分けである。

この切り分けは、実務の言葉づかいに深く刻まれている。 「このモデルの推論能力は X だ」と言うとき、X はプロンプトの書き方から独立した、モデル固有のスカラー値として語られる。 リーダーボードが一列に順位を並べられるのは、能力がそういうスカラー性質だと前提するからである。 スケール則がパラメータ数と能力を一本の曲線で結べるのも、同じ前提の上に立つ。 つまり評価のパラダイムは、測定装置が測る前から、内在的能力という存在論を必要としている。

ここに、まだ反転されていない片側がある。

反転すると、真値が消える

反転してみる。

重みとプロンプトを内在と外来に切り分ける原理的な理由は、どこにあるか。 どちらも、モデルの出力という同一の結果を条件づける入力である。 重みは訓練が書き込んだパラメータであり、プロンプトと足場は推論時に与えられる文脈だが、出力の分布を決めるという役割において両者は同じ資格をもつ。 であれば、重みだけを能力の在処と特権化し、文脈を「能力に外から加わる乱れ」とみなす根拠はない。 足場と文脈は、重みと同じ資格で能力を構成する。

この一歩から、素朴な実在論を降りる帰結が出る。 文脈から独立した「真の能力」というものは、存在しない。 ここで否定しているのは「能力という語が無意味だ」という命題ではない。 否定しているのは、「モデルには、あらゆる測定文脈に先立って確定した唯一の能力値がある」という命題である。 能力は、速さと同じ種類の量になる。 物体の速さが基準系を指定して初めて値をもつように、能力は測定文脈(プロンプト設計、順序、足場、環境)を指定して初めて値をもつ。 測定は、あらかじめある能力を明らかにするのではない。 測定が能力を立ち上げる[証拠水準:著者の推定]

これはド・ブロイの一歩と同じ形をしている。 評価が片側で認めている「粒子は位置をもち測定は読むだけ」を反転し、対称性を閉じた。 閉じた先に現れるのは、フレーム相対的な能力という存在論である。

なぜこの盲点は構造的に見えないのか

反転が正しいとして、なぜ主流はそれを見落とすのか。 理由は「研究者の注意が足りないから」ではない。 パラダイムの目的そのものが、この反転を構造的に不可視にするからだ。

ベンチマーク文化は、フレーム不変の数値を作ることを目的とする。 リーダーボードは、異なるモデルを一つの尺度で順位づけるために、測定文脈をまたいで安定した数値を要求する。 スケール則は、能力をパラメータ数の関数として外挿するために、能力がモデルのスカラー性質であることを要求する。 どちらの営みも、成立するために内在的能力という存在論を前提として組み込んでいる。 フレーム相対性は、この前提を否定する。 だから、フレーム不変の数値を作ることを目的とするパラダイムの内側からは、フレーム相対性は原理的に見えない。

Kuhn が示したように、通常科学の期間、研究者はパラダイムを正しいと仮定して細部を精緻化し、枠組み自体は問わない4。 測定装置は、測る前から特定の存在論を身にまとっている。 その存在論を疑う問いは、装置の設計仕様の外にある。 この構造こそが、盲点を盲点たらしめている。 [証拠水準:著者の推定]

散らばった現象が、一つの存在論で束なる

反転が生産的かどうかは、それが何を説明するかで決まる。 関係論的存在論は、これまで別々に扱われてきた散在現象を、一つの構図のもとに束ねる。

第一に、プロンプト感度である。 Mizrahi らが2024年に TACL で報告した大規模な検証は、20のLLMと39タスクにまたがる650万事例で、単一プロンプトによる評価がいかに脆いかを示した5。 プロンプトの言い換えだけで、モデルの順位が入れ替わる。 主流はこれを、真値に近づくために平均して消すべきノイズとみる。 反転すれば、順位が文脈で変わることは乱れではなく、能力が文脈相対だという現象そのものになる。

第二に、思考の連鎖である。 Wei らの2022年の論文は、原題に Elicits の語を選んだ6。 思考の連鎖プロンプトは、推論を新たに教えるのではなく、モデルに潜在する推論を顕在化させる、という含意である。 「潜在の顕在化」という言い方は、顕在化される前の潜在能力を前提する。 だが、CoT ありとなしで能力値が違うなら、どちらが「真の」能力なのか。 反転すれば、この問いは消える。 CoT は足場という文脈の一部であり、CoT ありの能力とCoT なしの能力は、別々の文脈で立ち上がった別々の値でしかない。

第三に、事後学習が能力に対して何をしているのかという論争がある。 LIMA を報告した Zhou らは、わずか1,000例の微調整で高品質な出力が得られることから、知識のほとんどは事前学習で獲得され、微調整は既存の知識を引き出すにすぎない、という仮説を立てた7。 微調整は能力を「解錠」しているのか、それとも「付与」しているのか。 この論争が論争として成立するのは、解錠すべき隠れた能力があらかじめ存在するという前提を、両陣営が共有しているからだ。 反転すれば、解錠と付与の区別そのものが、文脈を能力の一部とみるか外部とみるかの区別に還元される。

第四に、汚染がなぜ恐れられるかという問いがある。 評価データが訓練に混入すると、ベンチマークの数値が「本当の能力」を過大評価してしまう、と評価コミュニティは警戒する。 だが、過大評価という概念が成り立つには、比較の基準となる真の能力値がなければならない。 汚染が問題として立ち上がるのは、真値を措定したその瞬間である。 真値がなければ、混入したデータで上がった数値も、混入していないデータで測った数値も、どちらも特定の文脈で立ち上がった能力値であって、一方が他方を「過大評価」しているとは言えなくなる。

第五に、脱獄(jailbreak)がある。 同一の重みをもつモデルが、あるプロンプトでは拒否し、別のプロンプトでは応答する。 能力があるかないかの境界が、プロンプトという文脈で動く。 Greenblatt らが2024年に調べたパスワードロック済みモデルは、この構図を実験的に切り出した8。 特定の文字列があるときだけ能力を発揮し、なければ弱いモデルを演じるように微調整されたモデルで、隠された能力を引き出す手法が試された。 この研究は隠れた真の能力を措定する立場に立つ。 その意味で本仮説とは前提が逆だが、まさにその逆向きの前提を明示的に置くことで、真値を措定するかしないかがどこで効くのかを浮かび上がらせる。

これら五つを、主流は「真値に近づくために除くべき乱れ」として個別に処理してきた。 反転すれば、これらは乱れではなく現象そのものになる。 そして、五つを束ねる論理は一つに尽きる。 真値がなければ、乱れという概念が成り立たない。 [証拠水準:状況証拠]

反証できる予測を立てる

ここまでは存在論の話であり、そのままでは反証できない。 ド・ブロイの一歩が科学たりえたのは、電子回折という反証可能な予測を伴ったからだ。 関係論的存在論も、同じ資格を得るには、古典的な実在論では原理的に起きない何かを予測しなければならない。

その予測が、非古典的な文脈依存性(contextuality)である。

古典的な測定理論は、各対象に確定した真値があり、測定はそこに誤差を乗せて読むだけだと考える。 この描像のもとでは、どの測定文脈で何を測っても、背後にある単一の真値割当で全結果を辻褄合わせできる。 ところが量子力学では、両立しない複数の測定文脈にまたがる相関を、どの単一の確定的な値割当でも再現できない事態が起きる。 これが Kochen–Specker や Bell 型の contextuality であり、Abramsky と Brandenburger が層(sheaf)の言葉で統一的に定式化した9

能力が関係的なら、能力測定は同じ構造を示すはずだ。 両立しない誘発文脈(プロンプト設計、提示順序、足場)にまたがって能力を測ったとき、どの単一の確定的な能力割当を仮定しても、全結果を同時には再現できない構造が現れる。 古典的な「真値+測定誤差」の描像では、この構造は原理的に生じない。 だから、能力測定に非古典的な contextuality が検出されれば、真値の存在を前提する古典的評価観は反証される。 これが、電子回折に相当する検定である。 [証拠水準:著者の推定]

この予測が空想でない根拠は、量子的でない領域にも contextuality が現れることが、すでに実証されている点にある。 Wang, Solloway, Shiffrin, Busemeyer は2014年に PNAS で、質問の提示順序が回答を変える効果が、70件の全国調査で量子確率モデルの非パラメトリック予測に従うことを示した10。 人間の判断は、両立しない文脈にまたがって非古典的な順序効果を示す。 量子認知という分野が、この種の効果を体系的に扱ってきた11。 能力についても同じ検定が組める、という見込みは、ここから来る。

比喩が字義になる一点

ここが、本ノートで最も接地の効く場所である。

層理論的 contextuality の装置は、比喩としてではなく文字どおりの計算として、すでにLLMに適用されている。 Lo, Sadrzadeh, Mansfield は2025年に Proceedings of the Royal Society A で、BERT の埋め込みから抽出した確率分布に対し、sheaf-contextuality を大規模に検出した12。 Simple English Wikipedia を素材に、77,118件の層文脈的事例と約3,694万件の CbD 文脈的事例を測り、文脈依存性の度合いが埋め込みベクトルのユークリッド距離で最もよく予測されることまで示した。 LLMに非古典的な contextuality が実在することは、もはや仮説ではない。

ただし、対象を取り違えてはならない。 Lo らが測ったのは、語義の文脈依存性であって、能力や評価ではない。 「cabinet」のような多義語が文脈でどの意味に落ちるか、その意味の重なりが非古典的な構造をもつことを示したのであって、モデルの推論能力が文脈で立ち上がることを示したのではない。

この区別が、ド・ブロイの構図をそっくり再現する。 非古典性は、片方の領域(意味)ですでに実測された。 これが「光量子」にあたる。 対称性が告げるのは、ならば能力の側でも示されるはずだ、という予測である。 これが「物質波」にあたる。 装置は完成している。 対象を意味から能力へ移す設計だけが、まだ埋められていない片側として残っている。 [証拠水準:状況証拠]

新規性はどこにあり、どこにないのか

反転が魅力的に見えるときほど、既出との境界を厳密に引かねばならない。 本ノートの主張の多くは、すでに部分的に存在する。

能力を測定依存の構成概念とみる批判は、既にある。 Jacobs と Wallach は2021年に、公正性のような概念を測定の産物として捉える測定理論の枠組みを提示した13。 Bean らは2025年に、445のベンチマークを29名の専門家で分析し、構成概念妥当性(construct validity)の欠如が評価の主張を掘り崩していると示した14。 これらは、測定が能力像を作ることを鋭く指摘する。 だが、いずれも真値の不在という存在論的な一歩までは踏み込まず、より良い測定で真の構成概念に近づくという枠内にとどまる。

能力を文脈相対の傾向性とみる立場も、既にある。 Romero-Alvarado らが2026年に発表した傾向性(propensity)測定の枠組みは、能力を超えた振る舞いの傾きを文脈横断で測る15。 ただしこの枠組みは項目反応理論の上に立ち、傾向性を測定可能な構成概念として扱う。 真値の存在論を明示的に否定してはいない。 だから、古典的実在論を降りる一歩は、ここにも含まれていない。

LLMの非古典的 contextuality の実測も、既にある(前掲12)。 だが対象は意味であって、能力ではない。

創発は蜃気楼だという指摘も、既にある。 Schaeffer らは2023年に、能力の「創発」が測定指標の非線形性の産物でありうると示した16。 だがこの議論は、背後に連続的な真の能力があると前提し、その連続量が離散指標によって創発に見えるだけだと論じる。 真値を前提する点で、本仮説とは逆を向いている。

能力を引き出す(elicitation)研究も、既にある(前掲8)。 だがこれは隠れた真値を前提する立場であり、本仮説とは前提が逆である。

以上を踏まえて、本ノートの新規性は、次の三点に厳密に限定される。

第一に、存在論的反転である。 測定依存性を認める既存の批判の多くが、より良い測定で真の構成概念に近づくという枠を保つのに対し、本ノートは真値の不在まで踏み込み、実在論そのものを降りる。 第二に、検定の移設である。 非古典的 contextuality の実測を、意味の領域から能力と評価の領域へ移す設計を立てる。 第三に、束ねである。 プロンプト感度、CoT、事後学習の解錠論争、汚染、脱獄という散在現象を、真値の不在という一つの存在論のもとに束ねる。

そして、この三点は確証された事実ではない。 能力の contextuality 検定という確証実験を待つ、反証可能な仮説である。 [証拠水準:著者の推定]

同じ発見法が照らす、もう二つの非対称

同じ手つきは、評価の外でも二つの非対称を照らす。 どちらも短く触れるにとどめる。

一つは、学習と推論の非対称である。 訓練は能力を書き込む過程、推論はそれを使う過程、と分けて考えるのが通例だ。 だが、文脈内学習は forward pass のなかで勾配降下と機構的に等価だという結果が、複数の研究で示されている17。 von Oswald らは、訓練された transformer が forward pass のなかで勾配降下によってモデルを学習する mesa-optimizer になることを構成的に示した。 機構的な等価が既出であることを踏まえたうえで、対称性を完成させると、train と test の切れ目はフレーム依存の人工物だという存在論的同一性への格上げが残っている。 機構が同じだという主張と、存在論的に同じものだという主張は、別の主張である。 後者は、まだ踏まれていない。 [証拠水準:著者の推定]

もう一つは、アラインメントの非対称である。 AIを人間に整合させる、という一方向が既定になっている。 だが人間もまた、AIに合わせて認知と行動を変えていく。 Shen らは2024年に、AIを人間に整合させる方向と、人間をAIに整合させる方向の双方向分類を提示した18。 双方向であること自体は、既にこうして分類されている。 それでも、どちらが整合される側かがフレーム依存であること、結合系としての人間とAIがどこで不動点に落ち着くかを問うことは、まだ踏まれていない。 Li と Song が2025年に提示した相互適応の枠組みが最も近いが、それも協働の最適点を人間とAIの能力の交わりに置くのであって、どちらが整合の主体かをフレーム相対とみる存在論には立っていない19[証拠水準:著者の推定]

関係論的な存在論は、AIを個体の性質の束としてではなく、系のなかで立ち上がる関係として見る。 知覚を環境との関係のうちに定式化した affordance の発想と、遠くで通じ合う20。 心理学と認知科学の潮流を地図化した AIと心理学・認知科学の研究潮流:機械心理学とLLMの認知モデル化(2024–2026) は、量子認知や能力測定の隣接領域を追ってきた。 その地図が前提にしていたのは、測るべき能力が測る前から在るという構図である。 測定が能力を立ち上げるという反転は、その構図の裏側に置かれたままになっている。

閉じずに残す一つの問い

ド・ブロイの対称性は、電子回折で閉じた。 本ノートの対称性は、まだ閉じていない。

意味の側で非古典性が示され、装置は動いている。 能力の側でも示されるはずだ、と対称性は告げる。 だが、告げることと、示すことは違う。 能力の contextuality を検定する実験がどう組めるか、両立しない誘発文脈をどう定義し、どの単一割当でも再現できない構造をどう検出するかは、本ノートの手の届く範囲を超える。 確証されれば、真値を前提する評価観は反証される。 反証されなければ、能力にはやはり文脈独立の真値がある、という古典的描像が生き延びる。

どちらに転ぶかは、まだ測られていない。 測られていないという一点にこそ、この仮説が仮説である資格がある。

参照文献

方法の出典、および各主張の証拠として実在を確認した文献を DOI/URL つきで示す。 書誌の一部が未確定または本文到達が未達のものには [要一次検証] を付す。

方法(対称性完成という発見法)

  • de Broglie, L. (1924). Recherches sur la théorie des quanta. 博士論文、パリ大学。(原論文PDFへの直接到達は [要一次検証]、構図と提出日は複数二次源で確認)
  • Davisson, C. & Germer, L. H. (1927). The Diffraction of Electrons by a Crystal of Nickel. Physical Review 30(6):705–740. https://doi.org/10.1103/PhysRev.30.705
  • Stanford Encyclopedia of Philosophy. Symmetry and Symmetry Breaking. https://plato.stanford.edu/entries/symmetry-breaking/
  • Kuhn, T. S. (1962). The Structure of Scientific Revolutions. University of Chicago Press.

反転が束ねる散在現象(評価の存在論)

確証予測(contextuality の検定)

  • Abramsky, S. & Brandenburger, A. (2011). The Sheaf-Theoretic Structure of Non-Locality and Contextuality. New Journal of Physics 13:113036. https://arxiv.org/abs/1102.0264
  • Wang, Z., Solloway, T., Shiffrin, R. M., Busemeyer, J. R. (2014). Context effects produced by question orders reveal quantum nature of human judgments. PNAS 111(26):9431–9436. https://doi.org/10.1073/pnas.1407756111
  • Busemeyer, J. R. & Bruza, P. D. (2012). Quantum Models of Cognition and Decision. Cambridge University Press.
  • Lo, K. I., Sadrzadeh, M., Mansfield, S. (2025). Quantum-like contextuality in large language models. Proceedings of the Royal Society A 481(2319):20240399. https://doi.org/10.1098/rspa.2024.0399 (arXiv:2412.16806)

新規性の限定(既出との境界)

副次の二つの非対称

未検証事項([要一次検証]

本文および参照文献で書誌が未確定、または本文への到達が未達のものを集約する。

  • de Broglie (1924) 原論文PDFへの直接到達(構図と提出日は複数二次源で一貫確認)。
  • Romero-Alvarado et al. (2026) の本文詳細(abstract のみ到達、傾向性が存在論的に真値を否定するかは未確認)。
  • Li & Song (2025) の本文詳細(abstract のみ到達、結合系の不動点への言及の有無は未確認)。

Footnotes

  1. de Broglie, L. (1924). Recherches sur la théorie des quanta. 博士論文、パリ大学、1924年11月25日提出。光の波動性と粒子性の双対を物質へ拡張し、運動量と波長を結ぶ関係を提示した。原論文PDFへの直接到達は [要一次検証](構図と提出日は複数二次源で一貫確認)。

  2. Davisson, C. & Germer, L. H. (1927). The Diffraction of Electrons by a Crystal of Nickel. Physical Review 30(6), 705–740. https://doi.org/10.1103/PhysRev.30.705 電子回折を実証し、ド・ブロイの物質波仮説を(当初は狙わず)確証した。

  3. Stanford Encyclopedia of Philosophy, “Symmetry and Symmetry Breaking”. https://plato.stanford.edu/entries/symmetry-breaking/ 対称性とその破れが理論構成の発見法として働くことの概説。

  4. Kuhn, T. S. (1962). The Structure of Scientific Revolutions. University of Chicago Press. 通常科学がパラダイムを所与として細部を精緻化し、枠組み自体を問わないこと。

  5. Mizrahi, M. et al. (2024). State of What Art? A Call for Multi-Prompt LLM Evaluation. TACL. https://arxiv.org/abs/2401.00595 650万事例、20 LLM、39タスクで単一プロンプト評価の脆弱性を実証。

  6. Wei, J. et al. (2022). Chain-of-Thought Prompting Elicits Reasoning in Large Language Models. NeurIPS 2022. https://arxiv.org/abs/2201.11903 原題の “Elicits”(潜在の顕在化)が、顕在化前の潜在能力を前提する言い回しになっている。

  7. Zhou, C. et al. (2023). LIMA: Less Is More for Alignment. arXiv:2305.11206. https://arxiv.org/abs/2305.11206 1,000例の微調整で高品質出力を得て、知識の大半は事前学習由来で微調整は既存知識の引き出しにすぎないとする Superficial Alignment Hypothesis を提示。

  8. Greenblatt, R., Roger, F., Krasheninnikov, D., Krueger, D. (2024). Stress-Testing Capability Elicitation With Password-Locked Models. arXiv:2405.19550. https://arxiv.org/abs/2405.19550 特定文字列があるときだけ能力を出すよう微調整したモデルで、隠された能力を引き出す手法を検証。隠れた真値を前提する立場に立つ。 2

  9. Abramsky, S. & Brandenburger, A. (2011). The Sheaf-Theoretic Structure of Non-Locality and Contextuality. New Journal of Physics 13:113036. https://arxiv.org/abs/1102.0264 非局所性と文脈依存性を層理論で統一的に定式化。

  10. Wang, Z., Solloway, T., Shiffrin, R. M., Busemeyer, J. R. (2014). Context effects produced by question orders reveal quantum nature of human judgments. PNAS 111(26):9431–9436. https://doi.org/10.1073/pnas.1407756111 質問順序効果が70件の全国調査で量子確率モデルの非パラメトリック予測に従うことを実証。

  11. Busemeyer, J. R. & Bruza, P. D. (2012). Quantum Models of Cognition and Decision. Cambridge University Press. 判断と決定における非古典的効果の体系的定式化。

  12. Lo, K. I., Sadrzadeh, M., Mansfield, S. (2025). Quantum-like contextuality in large language models. Proceedings of the Royal Society A 481(2319):20240399. https://doi.org/10.1098/rspa.2024.0399 (arXiv:2412.16806、2024年12月)。BERT の語義に対し77,118件の層文脈的事例と約3,694万件の CbD 文脈的事例を実測。 2

  13. Jacobs, A. Z. & Wallach, H. (2021). Measurement and Fairness. FAccT ‘21. https://doi.org/10.1145/3442188.3445901 (arXiv:1912.05511)。公正性等を測定の産物として捉える測定理論の枠組み。

  14. Bean, A. M. et al. (2025). Measuring what Matters: Construct Validity in Large Language Model Benchmarks. arXiv:2511.04703. https://arxiv.org/abs/2511.04703 445ベンチマークを29名で分析し構成概念妥当性の欠如を指摘。

  15. Romero-Alvarado, D. et al.(Hernández-Orallo を含む)(2026). Capabilities Ain’t All You Need: Measuring Propensities in AI. arXiv:2602.18182. https://arxiv.org/abs/2602.18182 傾向性を項目反応理論の枠組みで文脈横断的に測定。存在論的な真値否定は明示しない。 [要一次検証](本文への到達は abstract のみ)

  16. Schaeffer, R., Miranda, B., Koyejo, S. (2023). Are Emergent Abilities of Large Language Models a Mirage? NeurIPS 2023. https://arxiv.org/abs/2304.15004 創発が測定指標の非線形性の産物でありうると論じる。背後に連続的な真の能力を前提する。

  17. von Oswald, J. et al. (2023). Transformers Learn In-Context by Gradient Descent. arXiv:2212.07677. https://arxiv.org/abs/2212.07677 / Garg, S. et al. (2022). What Can Transformers Learn In-Context? arXiv:2208.01066. https://arxiv.org/abs/2208.01066 / Akyürek, E. et al. (2023). What learning algorithm is in-context learning? ICLR 2023. https://arxiv.org/abs/2211.15661 文脈内学習が forward pass 内の勾配降下と機構的に等価であることの三系統の議論。

  18. Shen, H. et al. (2024). Position: Towards Bidirectional Human-AI Alignment. arXiv:2406.09264. https://arxiv.org/abs/2406.09264 AIを人間に、人間をAIに整合させる双方向の分類を提示。

  19. Li, Y. & Song, W. (2025). Co-Alignment: Rethinking Alignment as Bidirectional Human-AI Cognitive Adaptation. arXiv:2509.12179. https://arxiv.org/abs/2509.12179 相互適応の枠組みを提示し、最適な協働を人間とAIの能力の交わりに置く。 [要一次検証](本文への到達は abstract のみ)

  20. Gibson, J. J. (1979). The Ecological Approach to Visual Perception. Houghton Mifflin. affordance を有機体と環境の関係として定式化。


書いた人:小川 修一郎(Design Researcher / Consultant) 経歴を見る →