ノート · updated 2026-09-23
この wiki の引用ネットワーク:note をハイパーエッジとみなした分析と作品
公開 note 142 本が参照文献節で引いた文献 4,227 件のうち、2 本以上の note に引かれた 445 件を結び目とし、共引用グラフ(エッジ 5,870 本)を Louvain 法で 11 群(モジュラリティ 0.7263)に分けた。群には中身を読んで主題名を付け、論文の割合でウェブ寄りから学術寄りに並べた。
目次(11)
この wiki の公開 note は、末尾に参照文献を並べる決まりで書かれている。 並んだ文献には、できるかぎり DOI か URL を添える。
この並びを 142 本ぶん重ねると、どの文献が何本の note に引かれ、どの note とどの note が同じ文献の上に立っているかが見える。 wikilink は、書き手が意識して張ったつながりである。 参照文献の重なりは、書き手が意識しないまま積もっていく。 意識しないまま積もった重なりは、書き手がこの wiki について持っている見取り図と一致するのだろうか。
note を線ではなく束として扱う理由
note どうしのつながりを描くなら、note をノード、wikilink をエッジにするのが素直である。 本ノートはそうせず、文献をノードにし、1 本の note を、その note が引いた文献すべてを一度に束ねるハイパーエッジとして扱った。 通常のエッジは 2 点しか結ばないが、ハイパーエッジは任意の個数の点を一度に結ぶ。
束のまま扱う理由は、2 点ずつの組に分解すると情報が落ちるからである。 Battiston et al.(2020)は、多者間の相互作用をペアワイズのネットワークに射影すると、どの集合が同時に関与したかが失われることを整理している。 たとえば文献 A、B、C が互いに結ばれた三角形は、1 本の note が三つを同時に引いた結果とも、3 本の note がそれぞれ二つずつ引いた結果とも読める。 組に分けたグラフからは、この二つを区別できない。
ただし、群の検出と中心性の計算は、組に分けたグラフ(共引用グラフ)の上で行った。 束の情報を残しているのは図のほうで、1 本の note を、引いた文献を順に通る 1 本の糸として描いている。
組に分けたときのエッジは、引用分析の古典でいう共引用にあたる。 Small(1973)は、2 本の文献が第三の文献に同時に引かれることを共引用と呼び、同時に引く文献の数をその強さとした。 本ノートでは、同時に引く側が note である。 2 件の文献を結ぶエッジの重みは、両方を引いている note の本数になる。
逆向きの関係もある。 Kessler(1963)は、2 本の文献が同じ第三の文献を引くことを書誌結合と呼んだ。 この wiki では、2 本の note が同じ文献を共有していることがそれにあたる。 本ノートは書誌結合のネットワークを別に計算していないが、図の上で糸が一つの結び目に束になる様子は、書誌結合をそのまま目で見ている。
文献の引用関係から分野の構造を描く試みは、知識領域の可視化として総説にまとめられている(Börner et al., 2003)。 文献の動向を検出して可視化する専用の道具として、CiteSpace もある(Chen, 2006)。 本ノートは、その方法を一つの分野ではなく、一人の書き手の wiki に当てた。
何をどう数えたか
数値はすべて、2026-09-23 にビルドした dist/client/network.json から取った。
計算は src/lib/citation-weave.ts が行い、手順は次のとおりである。
- 対象:
wiki/note/直下の日本語 note のうち、draft でない 142 本。draft の 33 本は除いた。英語版は数えていない。公開ページで伏せている区間も、公開ページと同じく除いた。 - 抽出:見出しが「参照文献」「References」「参考文献」「出典」で始まる
##節から、次の##見出しの手前までの行だけを読んだ。関連ノートや未検証事項の節に書かれた URL は、引用として数えていない。 - 同定:DOI は小文字にそろえて一つの鍵にした。doi.org の URL と、出版社の
/doi/形式の URL も DOI に直した。それ以外の URL は、ホスト名のwww.と末尾の/、utm_で始まるパラメータを落として鍵にした。このサイト自身へのリンクは除いた。 - 論文かどうか:DOI を持つ文献と、DOI を持たなくても arXiv(
/abs/か/pdf/)、ACL Anthology、OpenReview(/forumか/pdf)の URL で書かれた文献を論文とし、それ以外をウェブページとした。プレプリントと学会の論文集は、DOI がなくても内容が固定された文書だからである。 - 結び目:2 本以上の公開 note に引かれた文献を、糸が集まる結び目と呼ぶ。
- 共引用グラフ:結び目をノードとし、同じ note に並ぶ結び目の組ごとに重みを 1 足した。
- 群:重みつきの Louvain 法(Blondel et al., 2008)で、モジュラリティ(Newman & Girvan, 2004)が大きくなる分割を探した。乱数は固定シードから取るので、同じ wiki からは毎回同じ分割が出る。群には、大きい順に 0 から番号を振った。
- 論文の割合と並び:群の結び目のうち論文が占める割合を、その群の論文の割合とした。群は論文の割合の小さい順(同じ値なら番号順)に並べ、この並びを「ウェブ寄りから学術寄りへ」の軸として図に使った。
- 主題名:各群に、読める名前と一行の説明を付けた。この名前は計算の出力ではない。群ごとに被引用数の上位の文献と、それを引く note を読み、書き手が手で付けたものである。名前と群の対応は、主題ごとに数本ずつ選んだ代表文献で取る。群が含む代表文献の数が多い組み合わせから順に割り当て、一つの主題を二つの群には使わない。Louvain 法の群番号は wiki が育つと入れ替わるので、番号ではなく文献で対応づけている。今回のビルドでは、11 群すべてに主題名が付いた。
- 機械の名前:主題名とは別に、群の結び目を通る note のタグを、通る結び目の数で重みづけして数え、上位 2 語をつないだ名前も残した。ほぼすべての note に付くタグ(ai、design、generative-ai、research、literature、literature-review、literature-map)と年のタグは除いた。
- 媒介中心性:Freeman(1977)の媒介中心性を、Brandes(2001)の算法で重みを使わずに計算し、最大値が 1 になるよう正規化した。共引用の重みは近さを表すので、距離として最短経路に入れると意味が逆になる。そのため重みは使っていない。
- 参照配置:ビルド時に ForceAtlas2(Jacomy et al., 2014)を graphology の実装で 500 回反復した。設定は、graphology が節点の数から推定する値(strong gravity あり、gravity 0.05、scalingRatio 10)である。初期位置は固定シードの乱数で決めた。この座標は
network.jsonに分析の記録として残す。ページの動く作品は、この座標を使わず、閲覧のたびにブラウザの中で配置を生成し直す(後述)。 - 書いた日:各 note の slug が
wiki/log.mdの対象欄に初めて出た日を、その note を書いた日とした。英語版の行(en/で始まる対象)は数えない。142 本すべてに log の記録があり、frontmatter のupdatedで補った note はない。 - 時期:書いた日を、トップページの関心の推移と同じ 6 つの時期に分けた。時期の区切りは、log の初出日で関心の移り変わりを読んだ別の分析から取っている。時期のあいだの空いた日に書かれた note は、前の時期に入れた(09-07 に書かれた 2 本のウォッチは時期 4 に入る)。
- 時期ごとの区間:1 本の note が群の結び目を 1 つ通るごとに、その note の時期に 1 区間を数えた。各群で区間の最も多い時期を、その群の最も厚い時期とした。結び目ごとには、最初に引いた note の時期を、その結び目が初めて出た時期とした。
本ノート自身と、作品の方法をまとめた ネットワークをデータアートとして描く方法:配置、束ね、時間、流れの文献 は、この計算から外してある。 本ノートは方法論の文献を引くだけなので、糸に含めると自分の結果を書き換えてしまうからである。 たとえば Kosara(2007)は データビジュアライゼーションとデータアートは何が同じで、何が違うのか だけが引いているが、本ノートも数えると結び目になってしまう。
数で見た全体
142 本のうち、参照文献を 1 件以上抽出できたのは 137 本だった。 異なり文献は 4,227 件で、うち DOI を持つものが 2,089 件(49.4%)だった。
結び目は 445 件で、文献全体の 10.5% にあたる。 残りの 3,782 件(89.5%)は、1 本の note にしか出てこない。 結び目の中でも、ちょうど 2 本の note に引かれたものが 332 件(74.6%)を占める。 3 本が 65 件、4 本が 26 件、5 本が 10 件、6 本が 6 件、7 本が 3 件、8 本が 1 件、9 本が 2 件である。 結び目のうち論文は 295 件(66.3%)で、DOI を持つ 247 件と、DOI のない arXiv などの論文 48 件からなる。
共引用グラフのエッジは 5,870 本あり、Louvain 法は 11 の群を返した。 モジュラリティは 0.7263 である。 エッジのうち群の内側にあるものが 4,876 本、群をまたぐものが 994 本(16.9%)で、群の境目ははっきりしている。
11 の群は、この wiki の何に対応するか
表は、論文の割合の小さい群から大きい群の順に並べた。 主題名は書き手が中身を読んで付けたもので、機械の名前はタグから計算した名前である。
「産業の観測」は、ほとんどがウェブページでできている。 結び目 96 件のうち論文は 9 件(DOI 8 件、arXiv 1 件)で、残る 87 件はウェブページである。 ウェブページの出どころは、Figma(8 件)、Anthropic(5 件)、Adobe と Vercel(各 4 件)などのベンダーの更新履歴や発表、欧州委員会、EUR-Lex、米国労働統計局、文化庁などの公的機関のページ、McKinsey、Gartner、世界経済フォーラムなどの調査報告、Nielsen Norman Group などの実務家の記事である。 最も多く引かれた結び目は Figma の Release Notes で、週次ウォッチ 9 本が同じ URL を引いている。 この群を通る糸の区間 274 のうち 139 は、公開されている 16 本のウォッチ(週次と月次学術)が占める。 96 件のうち 32 件は、ウォッチだけに引かれている。
「AI に任せる判断と評価の標準」は、タグから作った名前では ai-frontier / jev になる群である。 中身はほぼ TypeSafe AI の Jev を扱う 3 本で、この群を通る糸の区間 118 のうち 84 を、この 3 本が占める。 Jev の公式ドキュメント(8 件)と NIST の文書が並び、デザイン研究の Dorst et al.(2001)も含まれる。 論文は 51 件中 13 件(DOI 9 件、arXiv 4 件)にとどまる。
「LLM による評価」は、LLM-as-a-Judge の 2 本がほぼ単独で作った群である。 15 件のうち DOI を持つものは 1 件もないが、12 件は arXiv(10 件)と ACL Anthology(2 件)の論文で、論文の割合は 80% になる。 残る 3 件は、OpenAI の API 廃止予定の一覧、英国 AI Security Institute の評価基盤 Inspect のページ、NeurIPS の論文集のページである。 最後の 1 件は論文だが、論文として扱う置き場に NeurIPS の論文集を入れていないので、ウェブページとして数えられている。
「研究のすき間と問題の立て直し」は、研究のスキマを探す連作と、問題の立て直しを扱う note の群である。 上位には Dorst(2011)、Rittel & Webber(1973)、生成 AI と批判的思考を扱う Lee et al.(2025)が並ぶ。 スキマ探しの連作が共有した物理学の文献(Davisson & Germer, 1927 など)も、ここに入っている。 論文 48 件のうち 12 件は、DOI のない arXiv の論文である。
「AI とデザインの実務、教育」は、デザイン実務と教育に生成 AI が入ることを扱う CHI 系の研究の群である。 デザインの固着を扱う Jansson & Smith(1991)と Wadinambiarachchi et al.(2024)が上位にある。 この群は、11 の群の中で外とのつながりが最も多い。 結び目につながるエッジ 665 本のうち、349 本(52%)が他の群へ出ている。
「構えと能力を測る」「生成と創造性」「研究の問いの立て方」「学ぶことと認知負荷」は、どれも論文の割合が 95% 以上の学術の群である(論文はそれぞれ 39 件中 37 件、43 件中 42 件、42 件中 42 件、40 件中 40 件)。 「構えと能力を測る」は構成概念の測定とギャルマインドを測る試み、「生成と創造性」はジェネラティブアートと計算的創造性、「研究の問いの立て方」は研究の問いの立て方と Research through Design、「学ぶことと認知負荷」は認知負荷理論と足場かけに対応する。 「構えと能力を測る」の上位には、Costanza-Chock(2020)、Buchanan(1992)、Lave & Wenger(1991)が並ぶ。
「デザインシステム」はデザインシステムの 2 本(09-11)の群で、「スキルの公的標準」は結び目 1 件だけの群である。 その結び目は IPA のデジタルスキル標準で、デザインと新規事業の工程は、どの標準に載るか と ビジネスアナリストのスキルは、何で測るのか の 2 本が引く。 この 2 本はどちらも、ほかに結び目を持たない。 そのため共引用グラフの上では辺を一本も持たない孤立点になり、Louvain 法はそれを単独の群として返した。
よく引かれる文献と、群をつなぐ文献
引かれた回数の上位は次のとおりである。 初出の時期は、その文献を最初に引いた note の時期である。
| 文献 | note 数 | 群 | 媒介中心性 | 初出の時期 |
|---|---|---|---|---|
| Dorst 2011, The core of “design thinking” and its application | 9 | 研究のすき間と問題の立て直し | 0.119 | 時期 1 |
| Figma, Release Notes | 9 | 産業の観測 | 0.055 | 時期 1 |
| Doshi & Hauser 2024, Generative AI enhances individual creativity but reduces the collective diversity of novel content | 8 | 生成と創造性 | 1 | 時期 1 |
| McKinsey / QuantumBlack 2025, The State of AI | 7 | 産業の観測 | 0.18 | 時期 1 |
| Sandberg & Alvesson 2011, Ways of constructing research questions | 7 | 研究の問いの立て方 | 0.094 | 時期 2 |
| Framer, Updates | 7 | 産業の観測 | 0.051 | 時期 1 |
媒介中心性の上位は、これとは顔ぶれが違う。 Doshi & Hauser(2024)が 1(最大値)で、Gaver(2012)が 0.2568、Dorst et al.(2001)が 0.1864、McKinsey の State of AI が 0.18、Zimmerman et al.(2007)が 0.1631、Lee et al.(2025)が 0.1549 と続く。
多く引かれることと、群をつなぐことは一致しない。 Figma の Release Notes は 9 本に引かれるが、媒介中心性は 0.055 にとどまる。 引く 9 本がすべてウォッチで、共引用の相手もほとんどが「産業の観測」の内側にあるためだろう。 Rittel & Webber(1973)も 6 本に引かれるが、媒介中心性は 0.019 にとどまる。 引く 6 本のうち 3 本は、問題の立て直しを扱う一連の note である。 反対に Gaver(2012)は 4 本にしか引かれないが、「研究の問いの立て方」を作る 2 本と、ギャルマインドの測定を扱う ギャルマインドは何として測られたか:8因子の由来と、その限界 の両方に引かれ、2 番目の橋になっている。
note の側から見ると、糸が通る群の数(群のまたぎ数)は次のように分かれた。 1 群だけを通る note が 62 本、2 群が 31 本、3 群が 23 本、4 群が 5 本、5 群が 3 本、7 群が 1 本で、結び目を持たない note が 17 本ある。 7 群をまたぐ唯一の note は レビュー論文の執筆材料:新規性監査17件が残した前提台帳と近接文献 で、レビュー論文の材料として複数の調査の近接文献を集めた note である。 5 群をまたぐのは、AIスロップ:質の低さではなく、検証の外部化として読む、デザイン教育のAI適応 — カリキュラム改革の現在地と構造的課題、ジェネラティブアート調査2件への敵対的レビュー:文献地図と引用戦略をデザイン理論カノンで検査する の 3 本である。
結び目を持たない 17 本
17 本のうち 5 本は、参照文献節はあるものの、DOI も URL も一つも書かれていない。 AI 時代にデザイナーが担う役割 — 産業×学術ラウンドテーブル(business-only 改訂版)、民主化=再商品化のパラドクス — AIが「誰でもできる」を「誰も請求できない」に変える非対称、デザイン課金モデルの AI コモディティ化耐性 — 成果物課金は最も脆く、運用常駐の複製困難性は高粗利を意味しない、AX × デザイン:学術と産業の対照、「デザインとはクラフトのことではない」産業×学術ラウンドテーブル で、どれも時期 1 の 6 月に書かれた討議や統合の note である。 この時期の討議 note は、文献を書誌だけで挙げるか、出典を元になった note や作業台帳に預けていた。 本ノートの方法では、そこから 1 件も拾えない。
残る 12 本は、文献を引いているが、その文献をほかの公開 note が 1 件も引いていない。 引いた文献の数が多いのは、デザイン史から見たスロップ:職能は粗製濫造への対策として始まった(62 件)、初学者グループワークと共有AIエージェント:CSCL・AI支援協調学習の文献地図(2026)(48 件)、design-craft-relationship-industry(42 件)、forward-deployed-designer(32 件)、データビジュアライゼーションとデータアートは何が同じで、何が違うのか(29 件)などである。 これらの note は、wiki の中で孤立しているわけではない。 wikilink では他の note とつながっている。 結び目がないということは、その note が開いた文献の領域に、まだ別の公開 note が入っていないということである。
時期ごとに通る群
各 note を書いた日で 6 つの時期に分け、その時期の note が通る結び目の区間を群ごとに数えた。 初出の結び目は、その時期の note が初めて引いた結び目の数である。
| 時期 | 期間 | note(結び目あり) | 区間 | 区間の多い上位 3 群(割合) | 初出の結び目(うち論文) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 06-07〜07-12 | 44(36) | 272 | 産業の観測(64%)、AI とデザインの実務、教育(20%)、研究のすき間と問題の立て直し(4%) | 149(73) |
| 2 | 07-15〜07-29 | 37(35) | 290 | 研究のすき間と問題の立て直し(40%)、研究の問いの立て方(29%)、LLM による評価(10%) | 121(105) |
| 3 | 08-02〜08-24 | 34(30) | 305 | 生成と創造性(27%)、構えと能力を測る(26%)、学ぶことと認知負荷(24%) | 115(101) |
| 4 | 08-27〜08-31 | 10(8) | 77 | 産業の観測(36%)、AI とデザインの実務、教育(35%)、AI に任せる判断と評価の標準(10%) | 18(9) |
| 5 | 09-11〜09-14 | 5(5) | 28 | デザインシステム(54%)、産業の観測(39%)、スキルの公的標準(7%) | 11(5) |
| 6 | 09-18〜09-22 | 12(11) | 124 | AI に任せる判断と評価の標準(68%)、産業の観測(10%)、研究のすき間と問題の立て直し(9%) | 31(2) |
時期 1 では「研究のすき間と問題の立て直し」と「AI に任せる判断と評価の標準」が同じ 12 区間(4%)で並ぶ。 時期 5 で区間を持つ群は 3 つだけである。 時期 4 には、時期のあいだの 09-07 に書かれた 2 本のウォッチも入っている。
6 つの時期すべてに区間を持つ群は、「産業の観測」だけである。 区間は時期 1 に 175 と偏るが、その後も 15、32、28、11、13 と、どの時期にも現れる。 時期 2 以降の 99 区間のうち 90 はウォッチから来ており、どの時期にも書かれ続けるウォッチがこの群を保っている。
学術の群は、一つの時期に集まっている。 「研究のすき間と問題の立て直し」は区間 152 のうち 116(76%)、「研究の問いの立て方」は 112 のうち 83(74%)、「LLM による評価」は 30 のうち 28 が時期 2 にある。 「生成と創造性」は 100 のうち 81、「構えと能力を測る」は 90 のうち 79、「学ぶことと認知負荷」は 86 のうち 74 が時期 3 にある。 「AI に任せる判断と評価の標準」は 118 のうち 84 が時期 6、「デザインシステム」は 16 のうち 15 が時期 5 にある。
例外は「AI とデザインの実務、教育」である。 区間 116 のうち時期 1 に 54、時期 4 に 27 があり、二つの山を持つ。 時期 4 の 27 区間は、AIスロップ:質の低さではなく、検証の外部化として読む(11)、オンラインで多く見えることは、多くの人がそうしていることか(7)、スロップと対策の歴史:なぜ同じ賭けが繰り返し破れるのか(6)などのスロップを扱う note から来ている。 27 区間のうち 15 は時期 1 から時期 3 にすでに出ていた結び目を通り、うち 8 は時期 1 に初めて出た結び目である(Jansson & Smith, 1991 や Wadinambiarachchi et al., 2024 など)。 残る 12 は時期 4 に初めて出た結び目で、スロップの note どうしが新たに共有した文献である。 時期 1 に仕事と教育の変化を調べるために集めた CHI 系の研究の一部を、時期 4 ではスロップを論じる足場として引き直し、あわせて新しい文献を加えている。
初出の結び目の中身も、時期によって違う。 時期 2 と時期 3 に初めて出た結び目は、それぞれ 121 件中 105 件、115 件中 101 件が論文である。 時期 1 は 149 件中 73 件で、論文とウェブページがほぼ半々になる。 時期 6 は 31 件中 2 件しか論文がなく、31 件のうち 27 件は「AI に任せる判断と評価の標準」に入る Jev の資料などである。
デザイン理論から読むと
ここから先は、上の数値にもとづく解釈である。
一つめに、この wiki の知識は、二つの違う仕方で文献に錨を下ろしているように見える。 産業の側(「産業の観測」)の結び目は、更新され続けるページの URL である。 Figma の Release Notes は 9 本の週次ウォッチに引かれているが、引かれた時点ごとに中身が違う。 Small(1973)の共引用は、引かれる文献が固定された一つの文書であることを前提にしている。 更新され続けるページでは、同じ結び目が同じ内容を指すとは限らない。 そのため「産業の観測」の結び目は、共有された知的基盤というより、繰り返し見に行く観測点として読むほうが近い。 この群だけが 6 つの時期すべてに現れることも、観測点という読みと合う。 学術の側の結び目は論文で、固定された文書を指す。 ただし、結び目の多くは、同じ日に隣り合う題材で書かれた対の note が作っている。 「生成と創造性」の 43 件のうち 35 件は、08-02 に書かれたジェネラティブアートの 2 本が両方とも引き、2 本はそれぞれ 39 件を通る。 「研究の問いの立て方」でも、07-27 に書かれた 2 本が、42 件のうち 28 件ずつを通る。 このような結び目は、別々の問いが独立に同じ文献へ行き着いた結果というより、続けて書かれた調査が同じ文献群を土台にした結果と読むほうが自然だろう。 結び目の 74.6% がちょうど 2 本の note に引かれたものであることも、この読みと矛盾しない。
二つめに、産業の観測と、学習や測定の研究は、一つの note の中で出会っていない。 「産業の観測」と「学ぶことと認知負荷」、「産業の観測」と「構えと能力を測る」のあいだの共引用エッジは 0 本で、「産業の観測」と「研究の問いの立て方」のあいだも 4 本しかない。 「産業の観測」が外とつながる相手は、「AI に任せる判断と評価の標準」(73 本)と「AI とデザインの実務、教育」(61 本)に偏る。 産業の観測は、生成 AI とデザイン実務を扱う CHI 系の研究と、NIST の文書などを含む群を経由して、学術の群につながっている。 デザイン教育のAI適応 — カリキュラム改革の現在地と構造的課題 や 制作者から編集者へ — AI時代のデザイナー役割移行の構造分析 のように「産業の観測」と学術の群を同時に通る note は少数で、この wiki の中では橋の役を担っている。
三つめに、デザイン理論の古典は、デザインの実務を論じる群ではなく、研究の問いの立て方を論じる群に集まっている。 最も多く引かれた文献の一つである Dorst(2011)を引く 9 本は、リフレーミング、デザイン研究の方法論と認識論、スキマ探し、問題の立て直し、新しい研究の問いを扱う note だけで、書かれた日は 07-09 から 07-27 に収まる。 Zimmerman et al.(2007)、Gaver(2012)、Cross の Designerly Ways of Knowing(1982 年の論文と 2006 年の書籍)は「研究の問いの立て方」に、Buchanan(1992)と Kimbell(2011)は「構えと能力を測る」にある。 「産業の観測」の論文は 96 件中 9 件にとどまる。 この wiki でデザイン理論は、産業の変化を説明する枠としてより、自分の研究の問いをどう立てるかを考える道具として使われてきた、と読める。
四つめに、時期をまたいで戻ってくる文献がある。 Doshi & Hauser(2024)は、06-28 に書かれた AI経済学とデザイン — 6つの経済理論で読むデザイン労働の構造変化 から 09-22 に書かれた 創造的な仕事を人と協作すると、どんな社会的調整コストがかかるのか まで、8 本の note に引かれた。 8 本は時期 1、2、3、4、6 にまたがり、引かれていないのはデザインシステムを扱った時期 5 だけである。 媒介中心性も最大になった。 題名が述べるとおり、生成 AI が個人の創造性を高める一方で、生み出される内容の集団としての多様性を下げるという知見を扱う論文である。 LLM が人の発想を均質化する効果を扱う Anderson et al.(2024)も、時期 2、3、4、6 の 5 本に引かれて媒介中心性 0.1422 を持つ。 媒介中心性の最上位に均質化の知見が来ることから、時期ごとに入れ替わる学術の群を横切っている懸念の一つは均質化だと解釈できる。
五つめに、時期ごとの厚い群は、トップページの「関心の推移」の見出しとおおむね重なるが、見出しの半分が引用に現れない時期がある。 時期 2(研究の方法と、問いの立て方)は、区間の 69% が「研究のすき間と問題の立て直し」と「研究の問いの立て方」に入る。 時期 5(デザインシステムと、仕事を載せる標準)と時期 6(AI に任せる判断と、つくって考える方法)でも、最も厚い群は見出しの前半と一致する。 一方で時期 6 の後半にあたる、データビジュアライゼーション、SF プロトタイピング、創造的な協作を扱う 5 本は、合わせて 16 区間(13%)しか持たない。 時期 4(AI スロップと、デザインという分野の来歴)でも、来歴を扱う 日本のデザイン研究の系譜:三つの源流と、会長職を回してきた大学 と 「デザイン学の不在」は三度言われたのか:1978年・2008年・2023年の指摘を原典で読み直す が通る結び目は合わせて 2 件である。 時期 3(学ぶことと、能力を測ること)では、最も厚い群が見出しにない「生成と創造性」で、その 81 区間のうち 78 はジェネラティブアートの対の 2 本から来ている。
五つめの食い違いには、二つの理由が重なっている。 時期の見出しは題材を note の本数で読んだものだが、区間は note が引いた結び目の数で重みがつく。 結び目を 39 件ずつ通る対の note は、2 本だけで一つの時期の最も厚い群を作れる。 もう一つは、新しい題材の文献が結び目になるには、別の note にもう一度引かれる時間が要ることである。 時期 6 の後半と時期 4 の来歴の note は、開いた文献の領域にまだ次の note が入っていない。 このずれは、見出しが誤っていることを示すのではない。 note の本数で見た関心と、引用で見た関心が、測っているものの違う二つの見取り図であることを示している。
作品として描くこと
引用ネットワーク のページは、この計算結果を 7 つの作品として描く。 織物、星座、年輪の 3 つは、閲覧のたびに配置を生成し直す動く作品である。 束、弧、流れ、流線の 4 つは、完成した形を一度に描く静止画である。
7 つの作品で、印の形と濃さは同じ規則に従う。 塗りつぶした印は論文、輪だけの印はウェブページである。 濃さは群を表し、論文の割合の小さい群ほど薄く、大きい群ほど濃い。 図の上には、群の番号ではなく主題名を重ねて書いた。
動く作品の配置を決める力
織物、星座、流線の結び目の位置は、ページを開いたブラウザの中で、押し合う力と引き合う力の釣り合いから求める。 力の形は ForceAtlas2(Jacomy et al., 2014)から借りた。 ForceAtlas2 の斥力は、2 点の次数に 1 を足した値の積に比例し、距離に反比例する(F_r = k_r (deg_1 + 1)(deg_2 + 1) / d、同論文の式 2)。 重力は次数に 1 を足した値に比例し(F_g = k_g (deg + 1)、式 4)、重みつきのエッジの引力は重みと距離に比例する(F_a = w^δ d、式 6)。
本サイトは、結び目を引く note の本数を質量 m とし、その平方根を電荷 q = √m とした。 斥力は F_r = k_r q_i q_j / d で、式 2 の (deg + 1) の積を電荷の積に置き換えた形である。 引力は共引用のエッジに沿って F_a = k_a w d とし、式 6 で δ = 1 とした形に係数 k_a = 0.04 を掛けた。 ForceAtlas2 の引力に係数はなく、k_a は 1 tick の歩幅を、明示的な積分が安定する大きさに収めるために置いた。 重力は F_g = k_g g で、式 4 の形から (deg + 1) の係数を外し、大きさを一定にした。 ForceAtlas2 の論文は mass という語を使っておらず、deg + 1 は斥力と重力の係数として出てくる。 質量を慣性として使い、加速度を F / m とした点は、本サイトの設計である。
電荷を質量と分けたのは、慣性を実際に効かせるためである。 斥力と重力の両方に質量を掛けると、加速度 F / m から自分の質量が消え、重い結び目も軽い結び目と同じ加速度を受ける。 いまの形では、どの力でも、同じ力を受けたときの加速度は自分の質量とともに小さくなる。 ところが実測では、多く引かれた結び目ほど 1 tick あたりの移動量が小さいという関係は見られなかった。 多く引かれた結び目ほど共引用のばねの重みの合計も質量にほぼ比例して増え、質量あたりのばねの強さが下がらないためである。 したがって、この設計から言えるのは「同じ力を受けたときの加速度が小さい」ことまでで、「重い文献ほど動かない」ことではない。 式と実測の値は、下の「作品の式」の「力の計算」に置いた。
時間の順序も力の計算に入れた。
note は書いた日の順に 1 本ずつ加わり、そのたびに、その note が引く結び目と、結び目どうしを結ぶばねが増える。
配置は加わるたびに少しずつ動き、最後の note が加わったあとで落ち着く。
乱数のシードは閲覧のたびに変わり、URL のハッシュ(#<作品>/<シード>)に書き出す。
同じハッシュで開けば、同じ配置が再現される。
点を押し合わせ、エッジをばねで引き合わせて図を描く考え方は、Eades(1984)の spring embedder にさかのぼる。 Eades は、頂点を環に、辺を対数の強さのばね(C_1 log(d / c_2))に見立てた。 力で配置する方法の系譜には、Fruchterman & Reingold(1991)も挙げられる。
一つの配置を正解として見せない理由
以前のページは、ビルド時に固定シードで一度だけ求めた配置を、どの閲覧者にも同じ図として見せていた。 同じ図が毎回出ると、見る者は位置そのものに意味があると受け取りやすい。 しかし力で決まる配置は、初期位置に左右される。 Gansner et al.(2005)は、自分たちの方法を比べるときに 25 通りの乱数の初期配置を使っており、配置が初期位置によって変わることを前提にしている。 Venturini et al.(2021)は、力学モデルで配置したネットワークを見るとき、見る者が読み取る近さには関係の曖昧さが残ると論じている。
そこで動く作品は、閲覧のたびに別の配置を生成する。 配置が変わっても保たれるのは、どの結び目がどの結び目の近くにいるかという相対的な近さだけである。 図全体の形と向きは、毎回変わるので意味を持たない。 たとえばビルド時の参照配置では、「スキルの公的標準」は右端(x = 0.95)に置かれていた。 この群はエッジを持たないので、その位置は他の群との関係を何も表していない。 群どうしの関係は、どの配置の位置よりも、上に書いたエッジの本数で読むほうが確かである。
年輪を力に任せない理由
年輪では、中心から外へ向かう 6 つの輪が 6 つの時期にあたり、中心が時期 1 である。 結び目は、初めて引かれた時期の輪にのる。 角度は群を表し、真上から時計まわりに、論文の割合の小さい群から大きい群へ扇形を並べた。 年輪でも力を計算するが、力のかけ方は織物や星座と違う。 結び目は、自分の時期の帯と自分の群の扇形が交わる区画の外へ出られず、各 tick の後に区画の中へ戻される。 区画の中心へは、距離に比例する強い重力(ForceAtlas2 の式 5 の形から質量を外したもの)で引かれ、斥力は同じ区画の結び目どうしにだけ働く。 共引用の引力は区画をまたいで弱く働くので、結び目は区画の中で相手のいる側へ少し寄る。 区画の中の位置が表すのはその程度で、細かな位置には意味がない。
輪と扇形を力に任せなかったのは、時期と群というデータの値を、そのまま位置に写したかったからである。 Krzywinski et al.(2012)の hive plot は、ノードの属性で軸と軸上の座標を決める。 出版社の要旨によれば、この方法は、力学配置と違って再現でき、図どうしを比べられる。 年輪の帯と扇形は、この考え方を借りて、力で決まる部分を帯と扇形の内側に閉じこめたものである。
織物と星座
織物では、1 本の note は 1 本の糸になり、引いた結び目を順に通る。 通る順は、結び目の重心から最も遠い結び目を起点に、近い順につないで決めた。 その note だけが引く文献は、糸のまわりに細かな粒として散らしてある。 結び目を持たない糸は、ばねを持たない質量 1 の粒として力の計算に加え、中心へ引く力を 3 倍にした。そのため網の隙間や縁に落ち着き、糸はその粒のまわりの小さな輪になる。
星座では、結び目を星にし、共引用のエッジを星どうしを結ぶ直線にした。 星の大きさは、その文献を引く note の本数である。
4 つの静止画
束は、Holten(2006)の Hierarchical Edge Bundling で共引用のエッジを描く。 結び目を円周に並べ、根、群、時期、結び目の 4 段の階層を組む。 2 つの結び目を結ぶ曲線は、階層の木の上で片方からもう片方へ至る経路を制御点にした B-spline である。 Holten は、束ねの強さ β によって、生の接続を表す直線から、親どうしの暗黙の隣接を表す束までを連続的に変えられることを示した。 本作品では β を 0.85 とした。 群の中に時期の段を挟んだのは本作品の判断で、束が群の中でもう一度枝分かれする。 エッジそのものをばねとして引き合わせて束ねる方法もある(Holten & van Wijk, 2009)。
弧は、Wattenberg(2002)の Arc Diagram の形を借りた。 要旨によれば、Arc Diagram は文字列の中で繰り返し現れる同じ部分列の組を弧で結び、反復の構造を見せる。 本作品では、note を書いた日の順に 1 本の基線へ等間隔に並べ、同じ文献を 1 件以上引く 2 本の note を半円の弧で結んだ。 繰り返されるのは文字列ではなく、引いた文献である。 弧が結ぶ関係は、Kessler(1963)の書誌結合にあたる。 弧を真の半円にしたのは本作品の判断で、弧の高さが、2 本のあいだに書かれた note の多さとしてそのまま読める。
流れは、群ごとの区間の量を、note を書いた日に沿って積み上げた streamgraph である。 Havre et al.(2002)の ThemeRiver は、要旨によれば、テーマの強さを時間に沿って流れる川の帯の幅で表す。 Byron & Wattenberg(2008)は、積み上げグラフ、ThemeRiver、Streamgraph が、それぞれ異なるエネルギー関数を最小化していると示し、層の色付けと並べ方も提案した。 本作品は、同論文の weighted wiggle を基線に使い、立ち上がりの早い層を中央に、遅い層を外側へ交互に足す inside-out の並べ方を採った。 横軸は 6 つの時期に丸めず日単位で取り、各 note の区間をガウス核で広げて足した。
流線は、結び目の配置から滑らかなベクトル場を作り、その流線を等間隔に置いた図である。 場の作り方は本作品の設計で、結び目ごとの渦と、左から右へのゆるい流れを重ねた流れ関数から求める。 回転から作った場は湧き出しも吸い込みも持たないので、流線が一点に詰まらない。 流線の置き方は Jobard & Lefer(1997)に従った。 同論文は、流線どうしの間隔 d_sep と、積分を止める距離 d_test(0 < d_test < d_sep)の 2 つで線の密度を制御する。 本作品では d_test = 0.5 d_sep とした。 Turk & Banks(1996)は、要旨によれば、流線の配置をエネルギーの最適化として解き、手描きのような図を得た。 本作品は、それにならって線の端を細く薄くした。 流線の場は、力の計算で求めた結び目の配置から作る。
作品が参照した先例
作品の見た目を決めるときには、データを作品として描いた先例を参照した。 Lima(2011)は、ネットワークの図の広がりに Networkism という語を与えている。 ほかに、Lupi & Posavec(2016)の Dear Data、Posavec の Writing Without Words、Lombardi の Narrative Structures、Viégas & Wattenberg(2012)の Wind Map を見た。 Wind Map は、公式ページによれば、米国の地表の風の予報データを流れる線で描く個人のアート作品で、2012 年に公開された。 Viégas & Wattenberg(2007)は、題名のとおり、視覚分析の外にある芸術的なデータ可視化を扱う。
この図は、分析の図としても、織物の絵としても見られる。 Kosara(2007)は、題名のとおり、可視化の批評を情報可視化とアートをつなぐ環として位置づけている。 どちらとして扱われるかで評価の言葉が変わることは、データビジュアライゼーションとデータアートは何が同じで、何が違うのか で検討した。 織物の絵が読み違えを誘っても分析が崩れないよう、ページでは数値の分析を図の下に文章で並べてある。
作品の式
ここに並べる式は、2026-09-23 時点の実装から書き起こしたもので、引用ネットワークのページの「しくみ」に置いた式と同じ内容である。
式は ASCII の記号で書いた(* は掛け算、^ はべき、sqrt は平方根、sum は和、U(a, b) は a から b の一様乱数)。
長さの単位は、力の計算ではシミュレーションの座標、それ以外は画面の px である。
ページに合わせて、この節の式と文では note を「ノート」、群を「グループ」と書く。
ノートを数値にする式
ノートから数えるのは、文献ごとに引いたノートの本数、2 件の文献を一緒に引いたノートの本数、ノートを書いた日の 3 つである。グループ、論文の割合、時期は、この 3 つから計算する。
数える
T = 公開ノートの集合(draft と、この分析を記した 2 本を除く)
refs(n) = ノート n の参考文献節から読んだ文献の鍵
(DOI は小文字に、URL は www. と末尾の / と utm_ を除く)
count(r) = |{ n in T : r in refs(n) }| # 文献 r を引くノートの本数
K = { r : count(r) >= 2 } # 結び目(2 本以上のノートが引く文献)
w(a, b) = |{ n in T : a in refs(n), b in refs(n) }| # 共引用の重み(a, b in K)
paper(r) = 1 r が DOI、arXiv、ACL Anthology、OpenReview のとき(論文)
0 それ以外(ウェブページ)
C = Louvain(K, w) # グループ(重みつき、乱数は固定シード)
share(c) = sum_{k in c} paper(k) / |c| # 論文の割合
order(c) = share(c) の小さい順の順位 # 0 が最もウェブ寄り
bc(k) = C_B(k) / max_j C_B(j) # 媒介中心性(重みなし、Brandes の方法)
born(n) = ノート n が wiki/log.md に初めて出た日
period(n) = max{ p : start_p <= born(n) } # 6 つの時期
first(k) = period(k を最初に引いたノート)
pass(c, p) = sum_{n : period(n) = p} |refs(n) intersect c| # 時期ごとの区間
実装:src/lib/citation-weave.ts, src/data/interest-periods.ts
数から印へ
結び目の半径は引くノートの本数の平方根で太るので、面積がおおむね本数に比例する。
r(c) = r_min + 1.35 * u * sqrt(max(0, c - 2)) # 結び目の半径(c = 引くノートの本数)
u = clamp(W / 960, 0.5, 1.3) # 描画域の幅 W による尺度
r_min = clamp(3.5 * W / 1000, 2.6, 4)
作品ごとの倍率:束 0.5、流線 0.48(下限 0.55 * r_min)、ほかは 1
tone(c) = 0.46 + 0.44 * order(c) / (G - 1) # インクの濃さ(G = グループの数)
形 = 論文は塗り、ウェブページは輪
赤 = 選んだ要素とその要素自身の印、および最多引用の結び目(常に)
実装:src/lib/weave-works/common.ts
力の計算
文献は互いに押し合い、一緒に引かれた文献どうしはばねで引き合い、全体は中心へ引かれる。多く引かれた文献ほど重く、同じ力を受けたときの速度の変わり方が小さい。
織物、星座、流線の配置
m_i = count_i # 質量:その文献を引くノートの本数(結び目のないノートの粒子は 1)
q_i = sqrt(m_i) # 電荷:押し合う強さ
F_r = k_r * q_i * q_j / d # 押し合い(すべての組、d >= 0.5) k_r = 2.25
F_a = k_a * w_ij * d # ばね(共引用の組) k_a = 0.04
F_g = k_g * g_i # 中心への引力(大きさ一定) k_g = 4
# g_i = 1(結び目)、3(結び目のないノートの粒子)
d < R_i + R_j のとき # 重なりの押し戻し(速度に直接足す)
v_i += (x_i - x_j) * (R_i + R_j - d) / d * 0.5 * R_j^2 / (R_i^2 + R_j^2)
R_i = 0.0055 * S * (1 + 0.39 * sqrt(max(0, m_i - 2))) # S = いまの網の幅
v_i <- (v_i + alpha * F_i / m_i) * 0.6, |v_i| <= 12 # 慣性つきの 1 tick
x_i <- x_i + v_i
alpha <- alpha * 0.001^(1/300) # 温度を下げる(300 tick で 1 から 0.001)
ノート t は tick 3 * t に着く:新しい結び目は、網にいる相手の重心の近くに置く
その組の w_ij に 1 を足し、alpha <- max(alpha, 0.3)
止まる条件:すべてのノートが着き、alpha < 0.001
実装:src/lib/weave-works/physics.ts
描画域への写し方
回転と拡大は距離の比を変えないので、近さの関係はそのまま残る。
theta = 0.5 * atan2(2 * S_xy, S_xx - S_yy) # 重心まわりの 2 次モーメントの主軸
網を回して主軸を描画域の長い辺にそろえ、両端 1% を除いた広がりを縦横比を保って収める
外れた点:x' = hi + m * tanh((x - hi) / m) # 余白 m の中へなめらかに寄せる
実装:src/lib/weave-works/physics.ts (Fitter)
文献に従う部分:押し合いの式は ForceAtlas2(Jacomy et al., 2014)の式 2 と同じ形で、次数に 1 を足した値の積 (deg_i + 1)(deg_j + 1) の代わりに電荷の積 q_i q_j を置いた。ばねは式 6 で δ = 1 とした形に係数 k_a を掛けた。ForceAtlas2 の引力に係数はない。k_a を掛けることは座標の単位を取り替えることと同じで、1 tick の歩幅を、明示的な積分が安定する大きさに収めるために置いた。中心への引力は式 4 の形から (deg + 1) の係数を外した。速度の更新と温度の下げ方(velocityDecay 0.4、alphaDecay、alphaMin)は d3-force(D3, n.d.)の既定に合わせ、重なりの押し戻しも d3-force の forceCollide と同じ考え方である。
このサイトの設計:質量を慣性として使うこと(ForceAtlas2 は慣性を持たず、d3-force はすべての点の質量を 1 に固定する)、電荷を質量の平方根にすること、重なりの半径の形、ノートを書いた順に網を育てて着くたびに温度を上げ直すこと、描画域への写し方は、どの文献からも取っていない。電荷を √m にし、中心への引力から質量を外したのは、加速度 F/m を自分の質量とともに小さくするためである。斥力と重力の両方に質量を掛けると、F/m で自分の質量が消え、重い文献も軽い文献と同じ加速度を受ける。いまの形では、加速度は斥力で k_r q_j / (d √m_i)、中心への引力で k_g g_i / m_i、ばねで k_a w_ij d / m_i になる。
実測(seed 48213)では、各力が 1 tick に与える加速度 α|F|/m の平均は、引用 2 本の結び目から 6 本以上の結び目へ、押し合いで 0.84 から 0.49、ばねで 0.67 から 0.41、中心への引力で 0.31 から 0.11 に下がった。ところが、1 tick あたりの移動量の平均は、重い文献ほど小さくはならなかった。質量と移動量の順位相関(Spearman)は +0.068(seed 48213)、+0.107(seed 7)、+0.049、+0.073、+0.130(seed 1、2、3)で、どれも 0 に近いか、わずかに正である(質量を斥力と重力の両方に掛けていた以前の実装では +0.10 から +0.16)。多く引かれた文献ほど共引用のばねの重みの合計 Σw もおおむね質量に比例して増えるので、質量あたりのばねの強さが下がらない。速度は毎 tick 4 割ずつ減るので、結び目は、動いていく釣り合いの位置についていく。そのため「重い文献ほど動かない」とは言えず、言えるのは、同じ力を受けたときの加速度が小さいことまでである。
ビルド時にも、分析の記録として一度だけ ForceAtlas2(graphology の実装)で座標を求め、元データに残す。設定は inferSettings が返す値(strong gravity あり、gravity 0.05、scalingRatio 10、slowDown 1 + ln N、Barnes–Hut なし)、反復は 500 回、初期位置は固定シードの乱数(mulberry32、0x5eed)である。作品はこの座標を使わない。
織物の式
力の計算が決めた結び目を、1 本の糸が近い順に通る。結び目のあいだで糸は少したるみ、両端は短くほどける。
通る順:結び目の重心から最も遠い結び目から始め、まだ通っていない最も近い結び目へ進む
(動いている間は、経路が 1% 以上短くなるときだけ並べ替える)
制御点 P = [ T_s, A_1, M_12, A_2, M_23, ..., A_k, T_e ] # A_j = 結び目の位置
たるみ M_j = (A_{j-1} + A_j) / 2 + s_j * n_j
n_j = (-(y_j - y_{j-1}), x_j - x_{j-1}) / |A_j - A_{j-1}| # 区間に垂直な単位ベクトル
s_j = min(40 * u, 0.18 * |A_j - A_{j-1}|) * sigma_j, sigma_j ~ U(-1, 1)
ほどけ T_s = A_1 + L * (cos(phi + delta), sin(phi + delta)), phi = A_2 から A_1 への向き
delta ~ U(-0.6, 0.6), L ~ U(10 * u, 32 * u) # T_e も同じ形
結び目が 0 か 1 の糸:5 点の閉じた輪 c + rho * r_j * (cos theta_j, sin theta_j)
theta_j = start + pi + 2 * pi * j / 5, r_0 = 1, r_j ~ U(0.75, 1.25), rho ~ U(6 * u, 13 * u)
結び目 1 つ:c = A_1 + rho * (cos start, sin start) # 点 0 が結び目に重なる
結び目 0:c = そのノートの粒子の位置
粒(そのノートだけが引く文献)= 曲線の上の割合 f の点 + 法線方向へ (U + U + U - 1.5) * 7 * u
糸の濃さ = clamp(18 / T, 0.1, 0.2), 太さ = max(0.7, 0.9 * u)
結び目の半径 = r(すでに通った糸の本数)
揺らぎの乱数 = prng(hash(slug) xor seed * 0x9e3779b1)
実装:src/lib/weave-works/weave.ts
線の作り方
糸は制御点をすべて通る中心化 Catmull–Rom 曲線で、区間ごとに 3 次 Bézier に直して描く。
t_0 = 0
t_{i+1} = t_i + |P_{i+1} - P_i|^(1/2) # 節点の間隔を点の距離の平方根にする(alpha = 1/2)
P_1 から P_2 の区間を 3 次 Bézier (B_0, B_1, B_2, B_3) で表す:
l_ab = |P_b - P_a|, a_ab = sqrt(l_ab)
B_0 = P_1, B_3 = P_2
B_1 = (P_1 * (2 * l_01 + 3 * a_01 * a_12 + l_12) - P_0 * l_12 + P_2 * l_01) / (3 * a_01 * (a_01 + a_12))
B_2 = (P_2 * (2 * l_23 + 3 * a_23 * a_12 + l_12) + P_1 * l_23 - P_3 * l_12) / (3 * a_23 * (a_23 + a_12))
C(s) = (1-s)^3 * B_0 + 3 * (1-s)^2 * s * B_1 + 3 * (1-s) * s^2 * B_2 + s^3 * B_3, s in [0, 1]
端:開いた線は P_-1 = 2 * P_0 - P_1、P_n = 2 * P_{n-1} - P_{n-2} を足す。閉じた線は先頭へ戻る
実装:src/lib/weave-works/common.ts (catmullRomBeziers)
節点の間隔を |P_{i+1} − P_i|^α で決める Catmull–Rom 曲線の族のうち、α = 1/2 の中心化(centripetal)のものを使う。Yuksel et al.(2009)は、3 次の Catmull–Rom 曲線ではこの α = 1/2 だけが、区間の中にカスプも自己交差も作らないことを証明した。同じ著者の論文誌版が Yuksel et al.(2011)である。Bézier への変換は d3-shape の curveCatmullRom と同じ式で、同じ曲線を描く。Catmull–Rom 曲線そのものは Catmull & Rom(1974)を標準的な出典として挙げる。
星座の式
星は結び目、線は一緒に引かれた 2 件の文献である。一緒に引いたノートが多いほど、線は太く濃い。
星 i の位置 = 力の計算の位置 x_i, 半径 = r(count_i)
線 (i, j) は w_ij >= 1 のときに引く
濃さ(w) = [0.05, 0.10, 0.20, 0.30, 0.40][min(w, 5) - 1]
太さ(w) = max(0.6, u * (0.5 + 0.35 * (w - 1)))
時刻:星は、それを最初に引くノートが着いたときに灯る
線は、その 2 件を最初に一緒に引くノートが着いてから 220 ms 後に引き始める
実装:src/lib/weave-works/constellation.ts
線の作り方
線は 2 つの星を結ぶ線分で、描き始めは端から伸ばす。
x(s) = (1 - s) * x_i + s * x_j, s in [0, pr] # pr は 0 から 1 へ増える描画の進み
実装:src/lib/weave-works/common.ts (segment)
年輪の式
文献は、初めて引かれた時期の帯と、グループの扇形が交わる区画の中にだけ置かれる。区画の中の位置は、区画の中心への強い引力と、同じ区画の文献どうしの押し合いと、区画をまたぐ弱いばねで決まる。
R_p = R_max * (0.5 * (p + 1) / P + 0.5 * sqrt(N_p / N)) # 時期 p の帯の外周(P = 時期の数)
N_p = 時期 0..p に初めて引かれた結び目の数, 最初の帯の内周 = 0.22 * R_0
theta_c = (2 * pi - 0.2) * max(4, size_c) / S # グループ c の扇形の幅
真上から時計回りに order の順、扇形の間は 0.03、最後に結び目のないノートの扇形
区画 cell(i) = (グループの扇形) と (first(i) の帯) の交わり
以下は R_max = 1 の座標
F_g = k_g * d # 区画の中心への強い引力 k_g = 0.4
中心 = 扇形の中央の角度、半径 sqrt((r_0^2 + r_1^2) / 2)
F_r = s_c * k_r * q_i * q_j / d # 押し合い(同じ区画の組だけ) k_r = 1
s_c = k_g * rho_c^2 * n_c / (k_r * Q_c^2)
Q_c = sum_{i in c} q_i, n_c = 区画の結び目の数, rho_c = sqrt(区画の面積 / pi)
F_a = k_a * w_ij * d # ばね(区画をまたいで働く) k_a = 0.002
v_i <- (v_i + alpha * F_i / m_i) * 0.6, |v_i| <= 0.02, d >= 0.002
各 tick の後:角度を扇形の両端 8% を除いた範囲へ、半径を帯の内側 10%、外側 12%(面積比)を除いた範囲へ戻す
重なりの押し戻しは使わない
ノートの刻み:自分の時期の外周の上。角度 = 最も多く通るグループの扇形にある、その結び目の角度の平均
実装:src/lib/weave-works/rings.ts, src/lib/weave-works/physics.ts
線の作り方
ノートの刻みから、そのノートが引く結び目へ線分を引く。
x(s) = (1 - s) * x_note + s * x_knot, s in [0, 1]
実装:src/lib/weave-works/rings.ts
中心への引力を距離に比例させたのは(ForceAtlas2 の式 5 の形から質量を外したもの)、区画を一様に埋めるためである。大きさ一定の引力と 1/d の押し合いの釣り合いでは、半径 r の内側の電荷が r に比例し、密度が中心で尖る。距離に比例する引力なら内側の電荷が r² に比例し、区画が一様に埋まる。倍率 s_c は、釣り合いで Σ_i x_i·F_i = 0(ビリアル)が成り立つことから決めた。k_g Σ r_i² = s_c k_r Σ_{i<j} q_i q_j で、区画を半径 ρ_c の一様な円板とみなすと Σ r_i² = n_c ρ_c² / 2、Σ_{i<j} q_i q_j ≈ Q_c² / 2 になる。帯と扇形をデータの値で固定する考え方は hive plot(Krzywinski et al., 2012)による。
束の式
文献を円周に並べ、2 件を結ぶ線を、グループと時期の道すじに沿って曲げて束ねる。
角度:slot = (2 * pi - 0.05 * (G + 1)) / N, グループの j 番目の結び目は theta = start_g + slot * (j + 0.5)
グループは真上から時計回りに order の順、グループの中は最初に引かれた日の順(同じ日は本数の多い順)
木:根(中心 O)-> グループ(半径 0.36R、弧の中央の角度)-> 時期(0.66R、その結び目の角度の平均)-> 結び目(R)
結び目 a, b の制御多角形 = 木の上の経路(最小共通祖先を通る)
同じグループの同じ時期:[P_a, S_a, P_b]
同じグループ: [P_a, S_a, G_a, S_b, P_b]
違うグループ: [P_a, S_a, G_a, O, G_b, S_b, P_b]
直線への寄せ(beta = 0.85):
P'_i = beta * P_i + (1 - beta) * (P_0 + i / (N - 1) * (P_{N-1} - P_0))
線の濃さ(w) = dens * min(0.32, 0.045 + 0.04 * (w - 1)) * (tone_a + tone_b) / 2
同じグループの同じ時期の組はさらに 0.5 倍, dens = clamp(R / 320, 0.55, 1.15)
線の太さ(w) = min(1.3, 0.55 + 0.12 * (w - 1)) * max(0.9, 0.9 * u)
印の半径 = 0.5 * r(count)
実装:src/lib/weave-works/bundle.ts
線の作り方
寄せた制御多角形を、3 次の一様 B-spline でなめらかにする。端点を 3 重にするので、線は結び目で始まり結び目で終わる。
Q = [P'_0, P'_0, P'_0, P'_1, ..., P'_{N-1}, P'_{N-1}, P'_{N-1}]
区間 s(s = 0 .. |Q| - 4)、t in [0, 1):
C_s(t) = (1/6) * [t^3 t^2 t 1] * | -1 3 -3 1 | * [ Q_s ]
| 3 -6 3 0 | [ Q_s+1 ]
| -3 0 3 0 | [ Q_s+2 ]
| 1 4 1 0 | [ Q_s+3 ]
区間ごとに k = max(4, round(R / 60)) 点を取り、折れ線で描く
実装:src/lib/weave-works/bundle.ts (bspline, straighten)
制御点を直線へ寄せる式と β = 0.85 は Holten(2006)の 3.2 節の式 (1) による。β = 1 なら木の経路どおりに曲がり、β = 0 なら直線になる。一様な 3 次 B-spline の基底は de Boor(1978)と Bartels et al.(1987)を標準的な出典として挙げる。グループの中に時期の段を挟んだのは、このサイトの判断である。
弧の式
ノートを書いた順に等間隔に並べ、同じ文献を引く 2 本を半円で結ぶ。書いた順が離れているほど弧は大きい。
ノート i(書いた日の順)の位置 u_i = u_0 + i * (u_1 - u_0) / (n - 1)
弧 (a, b) は S_ab = refs_K(a) intersect refs_K(b) が空でないときに引く # 書誌結合
w = |S_ab|, tone = S_ab を最も多く含むグループの濃さ
濃さ = min(0.6, 0.09 + 0.11 * (sqrt(w) - 1)) * (0.55 + 0.5 * tone)
太さ = max(0.5, u * (0.5 + 0.5 * (sqrt(w) - 1)))
ノートの刻み:基線から外へ長さ max(5, 6 * u)。文献を共有しないノートは 0.55 倍で薄く
実装:src/lib/weave-works/arcs.ts
線の作り方
弧は 2 本のノートの中点を中心とする半円で、描画域に入らないときだけ高さを一律に縮める。
c = (u_a + u_b) / 2, r = (u_b - u_a) / 2
x(theta) = c - r * cos(theta)
y(theta) = y_0 - s * r * sin(theta), theta in [0, pi] # y_0 = 基線
s = min(1, 使える高さ / max r) # s = 1 で真の半円
縦長(4:5)では x と y を入れ替え、基線を左に立てて弧を右へ描く
実装:src/lib/weave-works/arcs.ts
弧で結ぶ形は arc diagram(Wattenberg, 2002)から借り、結ぶ関係は書誌結合(Kessler, 1963)である。弧を真の半円にし、高さを書いた順の隔たりとして読めるようにしたのは、このサイトの判断である。
流れの式
ノートがあるグループの文献を通るたびに、書いた日を中心になだらかな山を足し、グループごとの山を積み重ねる。
p_{n,c} = ノート n が引くグループ c の結び目の数
f_c(t) = sum_n p_{n,c} * K(t - t_n) # グループ c の層の厚さ(t_n = born(n))
K(x) = exp(-x^2 / (2 * h^2)) / (h * sqrt(2 * pi)), h = 6 日 # 面積 1 のガウス核
t は 1 日ごとの格子、最初の born - 15 日から最後の born + 15 日、核は 4h で打ち切る
層の並び(inside-out):立ち上がりの早い層から順に、上下のうち合計の軽い側へ足す
基線(weighted wiggle):
g_0(t_j) = g_0(t_{j-1}) - sum_i (df_i / 2 + sum_{k<i} df_k) * f_i(t_j) / sum_i f_i(t_j)
df_i = f_i(t_j) - f_i(t_{j-1})
境界 y_i(t) = g_0(t) + sum_{k<i} f_k(t), i = 0 .. L
塗りの不透明度 = 0.12 + 0.43 * (tone - 0.46) / (0.90 - 0.46)
選んだノートの帯:層の中心線のまわりに半分の高さ p_{n,c} * K(t - t_n) * scale / 2
実装:src/lib/weave-works/river.ts
線の作り方
層の境界(1 日に 1 点)を、中心化 Catmull–Rom 曲線でなめらかにする。区間の値は、線形補間を 3 段重ねて求める。
t_0 = 0
t_{i+1} = t_i + |P_{i+1} - P_i|^(1/2) # 節点の間隔を点の距離の平方根にする(alpha = 1/2)
P_1 から P_2 の区間、t in [t_1, t_2]:
A_1 = ((t_1 - t) * P_0 + (t - t_0) * P_1) / (t_1 - t_0) # A_2, A_3 も同じ形
B_1 = ((t_2 - t) * A_1 + (t - t_0) * A_2) / (t_2 - t_0)
B_2 = ((t_3 - t) * A_2 + (t - t_1) * A_3) / (t_3 - t_1)
C(t) = ((t_2 - t) * B_1 + (t - t_1) * B_2) / (t_2 - t_1)
曲線の上に max(2, 3 * u) px ごとに点を取る
端:開いた線は P_-1 = 2 * P_0 - P_1、P_n = 2 * P_{n-1} - P_{n-2} を足す。閉じた線は先頭へ戻る
層の中の筋:k = min(7, floor(最大の厚さ / (9 * u)) - 1) 本を、境界のあいだの割合 q / (k + 1) に置く
実装:src/lib/weave-works/common.ts (spline), src/lib/weave-works/river.ts
基線の式と inside-out の並べ方は Byron & Wattenberg(2008)による。基線の式は、層の傾きの二乗和を層の厚さで重みづけて小さくする条件から出て、差分の取り方は d3 の stackOffsetWiggle と同じである。時間に沿って帯の幅で量を表す形は ThemeRiver(Havre et al., 2002)の系譜にある。ガウス核による密度の推定は Silverman(1986)を標準的な出典として挙げる。3 段の線形補間で区間を求める形は、Yuksel et al.(2009)の図 3 が Barry と Goldman の算法として図解しているもので、原典の Barry & Goldman(1988)は標準的な出典として挙げる。
流線の式
文献ごとに小さな渦を置き、左から右へのゆるい流れを重ねた場を作り、その流れに沿って等間隔に線を引く。
流れ関数(px の座標、格子 g = max(3, round(min(W, H) / 220))):
psi(p) = sum_k s_k * w_k * exp(-|p - p_k|^2 / (2 * sigma^2)) + U * (y + A * sin(2 * pi * x / lambda))
p_k = 力の計算の位置, w_k = count_k^0.8
s_k = +1(グループの order が奇数), -1(偶数) # 隣り合うグループは逆に回る
sigma = max(14, 0.042 * min(W, H))
U = 0.16 * (渦だけの速さの 90 パーセンタイル), A = 0.05 * H, lambda = 0.9 * W
速度 v = (dpsi/dy, -dpsi/dx) # 格子の中心差分、あいだは双一次補間
div v = 0 # 湧き出しも吸い込みもない
線の太さ = max(0.55, u * (0.4 + 1.5 * rho^0.8)) * taper
rho = min(1, 結び目の密度 / 密度の 97 パーセンタイル)
taper = 0.2 + 0.8 * smoothstep(線の端からの長さ / (2.5 * d_sep))
結び目の印 = max(0.55 * r_min, 0.48 * r(count))
実装:src/lib/weave-works/streamlines.ts
線の作り方
種の点から、速度の向きに小さな歩幅で両方向へ進み、ほかの線に近づいたら止める。
向き e(x) = v(x) / |v(x)| # |v| < 0.08 * U なら止める
中点法(2 次の Runge-Kutta)、歩幅 h = max(1, 0.22 * d_sep)、sigma = +1 と -1 の両方向:
x_mid = x_k + sigma * (h / 2) * e(x_k)
x_{k+1} = x_k + sigma * h * e(x_mid)
止める:e(x_k) . e(x_mid) < 0.5、前の歩との向きの内積 < 0.6、余白の外、
ほかの線(自分の線なら線に沿って 2.2 * d_sep より離れた部分)から d_test 以内
Jobard と Lefer の配置:
d_sep = clamp(min(W, H) / 80, 6, 12), d_test = 0.5 * d_sep
種 = 置いた線の各点から法線方向に +-d_sep の点。0.98 * d_sep 以内に点がなければ採る
最初の種 = 最多引用の結び目の少し上流 (x_0 - 2 * d_sep, y_0 + d_sep)
種が尽きたら、間隔 1.4 * d_sep の揺らした格子の点で空白を埋める
長さ 4 * d_sep に満たない線は捨てる
実装:src/lib/weave-works/streamlines.ts
流れ関数 ψ から v = (∂ψ/∂y, −∂ψ/∂x) で作った速度場は、∂²ψ/∂x∂y − ∂²ψ/∂y∂x = 0 なので発散が 0 になる。流線は ψ の等値線になり、結び目の密な所では閉じた渦が何重にも巻く。流れ関数は Batchelor(1967/2000)を、中点法は Press et al.(1992)を標準的な出典として挙げる。流線の置き方と d_sep、d_test は Jobard & Lefer(1997)により、線の端を細く薄くするのは Turk & Banks(1996)の図にならった。場の形(渦とゆるい流れの重ね合わせ)と、速度を単位ベクトルにしてから進める歩き方は、このサイトの設計である。
限界
- DOI も URL もない文献は数えていない:142 本のうち 5 本は、参照文献を 1 件も抽出できなかった(抽出できたのは 137 本)。書誌だけで挙げた文献は、どれだけ多く引かれていても結び目にならない。
- URL の正規化には誤差がある:更新され続けるページは、時点の違う内容を一つの鍵にまとめてしまう。反対に、同じ論文の arXiv 版と出版版は、別の文献として数えられる。
- 論文かどうかの判定は置き場で決まる:論文として扱う置き場は arXiv、ACL Anthology、OpenReview の 3 つだけである。NeurIPS の論文集のページのように、ほかの置き場にある DOI のない論文はウェブページとして数えられ、その群の論文の割合を下げる。
- 主題名は書き手の読みである:群の分割は計算で決まるが、主題名と説明は書き手が中身を読んで付けた。代表文献による対応づけは、群が組み替わっても同じ名前を同じ中身に当てるための仕組みで、名前の妥当さを保証するものではない。タグから作った機械の名前も、群の中身とずれることがある(「AI とデザインの実務、教育」の機械の名前は design-education / chi だが、スロップを扱う note も通っている)。
- 書いた日は log の初出日である:log は実際に書いた日より遅れて記録されることがある。frontmatter の
updatedが log の初出日より前になっている note が 4 本あり(デザイン教育のAI適応 — カリキュラム改革の現在地と構造的課題 など、updatedが 07-09 か 07-10 で、log の初出が 07-12)、少なくともこの 4 本では記録が書いた日より遅れている。 - 時期の区切りは別の分析から借りている:6 つの時期は、log の初出日で関心の移り変わりを読んだ分析の区切りで、引用のデータから求めたものではない。区切りを動かすと、時期ごとの区間と初出の結び目の数も変わる。
- 新しい時期ほど結び目ができにくい:結び目になるには 2 本目の note に引かれる必要があるので、書かれてからの日数が短い時期の文献ほど結び目として数えられにくい。時期 4 から時期 6 の初出の結び目が少ないことには、この打ち切りの効果が含まれている。
- 対の note は結び目を水増しする:同じ文献群を土台に続けて書いた 2 本の note は、それだけで多数の結び目を作る。結び目の数は、独立に同じ文献へ行き着いた回数とは一致しない。
- 公開部分だけのネットワークである:draft の 33 本を除いているので、draft の note を介してだけ共有されている文献は見えない。トップページの「関心の推移」は draft を含めて note を数え、ウォッチを除いているので、時期ごとの note の数は本ノートの数と一致しない。
- 孤立した結び目も群として数えている:「スキルの公的標準」は結び目 1 件だけの群で、11 という群の数にはこれも含まれる。
- 分割と中心性は一つの設定での結果である:Louvain 法の乱数のシードを変えた比較はしていない。媒介中心性は重みを使わずに計算し、最大値で正規化した値である。
- 動く作品の配置は閲覧のたびに変わる:ページの織物、星座、年輪の配置は、閲覧のたびに乱数のシードを変えて生成し直す。本ノートで座標に触れる記述(「スキルの公的標準」の x = 0.95 など)は、ビルド時の参照配置についての記録である。質量を慣性として加速度を F/m とする設計は本サイトの判断である。実測では、重い結び目ほど動きが小さいという関係は見られなかった(5 つのシードで順位相関 +0.05 から +0.13)。この設計が配置の読みやすさをどれだけ変えるかは、文献でも本ノートでも確かめていない。
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